『ギリシャ語初級/ 中級A・B / 上級A・B』 『ラテン語初級/ 中級A・B/ 上級』クラス便り(2018年2月)

「山びこ通信」2017年度冬学期号より下記の記事を転載致します。

『ギリシャ語初級』『ギリシャ語中級』A・B 『ギリシャ語上級』A・B
『ラテン語初級』 『ラテン語中級』A・B 『ラテン語上級』

担当 広川 直幸

 今学期は、新規開講した授業はないが、ギリシャ語とラテン語とを合わせて九つの授業を継続して開講している。

 ギリシャ語初級は、この授業では定番になったPeckett & Munday, Thrasymachusというイギリスで出版された教科書を学んでいる。昨年の四月に開講してもうすぐ一年が経つ。今学期で教科書の半分を超えるところまで進むので、順調に行ってあと一年掛からずに終えることができるのではないかと予想している。

 ラテン語初級は、これもまた定番になったHans H. Ørberg, Lingua Latina I: Familia Romana(教科書)とExercitia Latina(問題集)を用いている。本文を音読して、分からないこと気をつけるべきことを説明して、練習問題を解くというやり方で進めている。練習問題によって本文の理解度を確認することができるように作られているので、本文の訳読は基本的に行わないようにしている。

 ギリシャ語中級Aでは、ルキアノスの『本当の話』を読んでいる。肩肘張らずに気楽に読めるものなので、一度にOCTで3ページ程度を目安に進めている。もう第一巻は読み終え、今は第二巻を読んでいる。

 ギリシャ語中級Bは、プラトーンの『ソークラテースの弁明』を読み終えた。今回『弁明』を再読しながら、ソークラテースと老いの関係が気になるようになり、そのことに言及していて、なおかつ短くて箸安めになるものをということで、クセノポーンの『ソークラテースの弁明』を次に読み始めた。受講生によるとクセノポーンはとても読みやすいとのことである。

 ラテン語中級Aは、キケローの『カティリーナ弾劾第一演説』を読み終えて、今はリーウィウス第一巻を読んでいる。「序文」がやはり難物で、古いテクストと新しいテクストでは校訂と解釈が異なるところなどもあり、かなり時間を取られてしまった。いまはまだアルバ・ロンガが建設されるところまでしか進んでいないが、徐々にペースを上げて行きたいと思っている。

 ラテン語中級Bは、プリーニウスの『博物誌』第七巻を読んでいる。整えられた文学作品とは全く違い、知りえたことをどんどん書くという態度で書かれていて、読みやすいとは言えないが、これはこれでプリーニウスの人柄が垣間見えるようで面白い。ちなみに、『テルマエ・ロマエ』で有名なヤマザキマリがとり・みきと二人で描いている漫画『プリニウス』は、気軽に読めて、プリーニウスに親しみを感じさせてくれるので、『博物誌』を読み始めるよいきっかけになるのではないかと思う。

 ギリシャ語上級Aは、アイスキュロスの『ペルシャ人』を読んでいる。従来どおりWestのトイプナー版を中心にして、いろいろな校訂本や註釈書等を参考にしながら、本文批判について一々検討しながら進めている。一度に進む量は少ないが、既に半分を読み終えた。

 ギリシャ語上級Bは、ロンギノスの『崇高について』を読んでいる。読み進むにつれ、文学を分析するための理論というよりは、創作のための理論という面が強いのだと感じるようになってきた。とはいえやはりギリシャ語が難しく、特に専門用語に関してはLSJもあまり当てにならないので、悪戦苦闘している。

 ラテン語上級は、カトゥッルスを読んでいる。長めの詩から成る中盤がようやく終わり、エレゲイア詩が集められた部分に入ったので、来学期には読み終わるのではないかと思う。