『中学英語』2~3年クラス便り(2017年11月)

「山びこ通信」2017年度秋学期号より下記の記事を転載致します。

『中学英語』2~3年

担当 吉川弘晃

 今回のテーマは「文章を暗記すること」についてです。
 中学英語のクラスでは、春学期までは個々の単語や熟語を日本語から英語に直す形式の小テスト(毎回20語)を行ってきました。それに対して秋学期では、学校で習った文法事項に応じた例文を日本語から英語に直す形式の小テスト(毎回10文)に切り替えました。今までは単語を覚えれば良かっただけですが、これからは一定の長さの文を暗記せねばならないので、脳への負担は非常に重くなっていることでしょう。作文では個々の単語が正しく書けても、主語や時制に応じた正しい動詞の変化ができてなければ正解とはなりません。また、前置詞や熟語の使い方が誤っているとさらに減点されます。従って、この小テストに立ち向かうには、これまでにも増して耳(何度も聞く)や口(何度も音読する)、手を動かす(何度も書く)ことが求められるのです。
 こうした厳しい鍛錬には多くの時間が取られてしまい、部活で忙しい方や受験対策を急ぎたい方にとっては、面倒に思われるかもしれません。しかしながら、毎回の小テストのための皆さんの努力は次の2つの点で英語力の向上に役立つことでしょう。まず、例文を覚えることで語彙力が増えます。10の文章があれば、そこには80〜100語の単語が含まれますが、そこには① 完全に覚えている語、② 頭には残っている語、③ 覚えていない語があるでしょう。③ を覚えることは重要ですが、② については復習の機会と考えてもう一度覚え直すことが求められます。さらには作文で使いこなせる語にできれば完璧でしょう。第二に、小テストを通じて英語を読む力が上がります。自分で文章を書くことで、名詞や動詞の綴りやそれらと一緒に使う前置詞、さらに動詞の格変化や時制について、それまでよりも注意するようになっていきます。そうすると、英語を読む際にも、そうした注意力が生かされ、主語や時制を取り間違えるミスが減っていくことでしょう。第三に、英語を書く力が根本から鍛えられます。書くことは究極的には自分の考えを何とかして自分なりの言葉で表現していく行為です。ですが、その第一歩は他人が使っている文章(例文)の丸暗記です。例文を憶えていれば、一部の単語や動詞の時制を変えてみたりして、自分の文章を作ることができるわけです。高校英語では作文の比重は高まっていますし、社会に出れば、英語を読むだけでなく、書いたり話したりして自分で情報を発信する機会が日本国内でも増えていくでしょう。長期的に求められるこうした「生きる力」をつけるためにも、毎回の例文暗記の小テストには力を入れて臨んでほしいと思います。
 とはいえ、一度に多くの例文を覚えるのは(かくいう私にとっても)大変な作業です。最後に例文暗記のために一つだけアドバイスをしましょう。例文を覚えるコツはズバリ、暗記内容を「分割する」ことです。まずは配られた例文プリントを何度か音読した後、覚えていない、もしくは馴染みのない単語や熟語にマーカーを引き、それをリストにして一気に覚えましょう。これは単語テストの対策と同じ方法です。また、従属接続詞で繋がった長い文章を覚える際は、主文と副文に分けて覚えましょう。例えば、He told me to wash dishes after I ate dinner. ならば、主文はHe told me to wash dishes、副文はafter you I ate dinner です。まずはそれぞれ(特に覚えていない箇所)を音読、筆記練習して、最後に一度で書いたり暗唱したりできるか試します。ポイントは、覚えるべきものを複数に分割して、自分が覚えていない部分を探り出し、それを中心に頭に叩き込んでいくことです。