「山びこ通信」2017年度秋学期号より下記の記事を転載致します。

『高校英語』A・B・C 『英語講読』A・C

担当 浅野 直樹

 英語講読C クラスではハンナ・アレント『人間の条件』(Hannah Arendt , The Human Condition)を読み始めました。labor, work, action という3つのactivities が本文の冒頭で区別されます。labor は骨の折れる肉体労働を想起させます。この本の中でも生命を維持するために必要不可欠な労働という意味でこの語が用いられています。work には作品という意味があることからしても、こちらは職人や芸術家の仕事が典型になります。action は具体的な行動です。この本の文脈では古代ギリシアのポリスで演説をする行為が念頭に置かれています。こうしたlabor, work, action をひっくるめて抽象的に活動を指す語としてactivityが用いられています。ハンナアレント著、志水速雄訳『人間の条件』(筑摩書房、1994)ではそれぞれ「労働」、「仕事」、「活動」、「活動力」と訳し分けられています。
 上記のように似ているけれども微妙に意味の異なる語を識別するということは、中級以上の英語学習者にとって重要になってきます。例えば高校生が英検2級を受けようとしたときに突き当たる壁がそこにあります。buy(買う)だけでなくpurchase(購入する)という語が登場し、そうした語の意味がわからないと太刀打ちできないからです。大学入試問題でも語句の書き換え問題をよく目にします。
 英語講読A クラスでは毎回のように微妙な語の意味の違いが話題になります。effective とefficient は綴も意味も似ています。前者はeffect(効果)の派生語なので「効果的な」であり、後者は「効率的な」です。古いエアコンは部屋を冷やす効果があるという点でeffective ですが、電気代がかさむという点でefficient ではありません。motive とmotivation の違いはもっと微妙です。どちらも動機を表しますが、motive は犯行動機を記述するときによく用いられるように否定的・客観的なニュアンスがあるのに対し、motivation は肯定的・主観的なニュアンスがあるようです。

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