西洋の児童文学を読む(2017/10/19)

福西です。

トンケ・ドラフト『王への手紙』(西村由美訳、岩波少年文庫)を読んでいます。来週に第3章を読み終えます。そのとき、以下のメモを使って、内容を振り返ろうと思います。

第1章~第3章を振り返って

【気づいたところ】

同じ表現が繰り返されるたびに、ティウリが「遠く」へ旅を続けていると感じられる。

1)

p230 「どこからいらしたの? どこへ行くの?」(ラヴィニア)

p161 「どこからいらした? そして、どこへお行きになる?」(城主ラフォックス)

p140 「どこから来た? そして、どこへ行く?」(大修道院長ヒロニムス)

p89  「どこから来た? どこへ行く?」(森のマヌケ)

10/4の授業で、p161のラフォックスの発言を、Kai君が発見してくれました。

2)

p31 「騎士が、『どこから来た?』ときいてくる。そうしたら、『遠くから。』と答えなければならない。(エトヴィネムの従者、合言葉)

p49 「どこから来た?」「遠くから。」ティウリが答える。(エトヴィネム、合言葉)

p90 「どこ? どこへ?」マヌケが大声で言った。「ずっと遠く。」ティウリが答えた。

p142 「そなたの、遠く困難な旅路にあって、神がそなたをお助けくださいますように。」(ヒロニムスの祝福)

p236 「たぶんわれらよりも遠くまで行くのだろう。」(リストリディン)

3)

p141 「メナウレスさまのところに寄っていくのなら、それは、正しいことであろう。」大修道院長が言った。

p236 「隠者メナウレスさまが、そなたを導いておられる!……それならば、よいことにちがいない。」(ラフォックス)

4) 時の流れが早く感じられる描写

p36 「ドアを開けよ。」という声を聞いたのは、ずいぶん前のように思えるが……。

p46 そのとき、はっとして現実に立ちかえった。

p55 自分がぐんと歳をとり、考え深くなったような気がした。

p57 先ほどまでのできごとが信じられないほどだった。

p178 塔の部屋でのこの日のことを、ティウリは決してわすれないだろう。そして、思い出すたびに、ぞっとすることだろう。

p193 すべてが非現実的に思えた。

 

【抜き書きのダイジェスト】

p28 「国王全体の安寧がこの手紙にかかっている。」

p29 「名の知られぬ、目立たぬ人が必要なのだ。しかし、同時に、この手紙をゆだねられる相手でなければならない。」

p30 規則も重要だが、助けを求めるこの男の要請は、さらに重要だ。

p31 「もしわたしが騎士であるとしたら、騎士の名誉にかけて、それを誓います。」

p46 ほかにはどうしようもなかったんだ、という結論に達した。

p47 そして、勇気をふりしぼった。何かをしなければならない。

p50 「赤い盾の黒い騎士は、わたしをわなにさそいこんだ。」

p51 「わたしが届けることはもはやできない。だから、届けてほしい!(中略)わたしは、そなたを信頼する。(中略)そなたに、多くを求めすぎているのはわかっている。だが、いまは、そなたこそ、この任務にうってつけの人物だ。」

p52 「騎士になるであろう。」と、黒い騎士が言った。

p53 「そなたは、ただ、わたしの使者であればよい。」

p53 ティウリは、深い悲しみにおそわれた。

p84 とつぜん、実行不可能なものに思えてきた。(中略)とつぜん、星が目に入った。

p90 「木だって、大きくなるとき、急がない。」

p90 「そうだよ。太陽を追っかけて。」ティウリは言った。

p102 ずっとこんなふうに、疑い深く、敵を恐れながら、進んでいかなければならないのだろうか?

p104 遠くの星のように弱い光だが、はっきりと見える。それは、白い盾の騎士からの最後のあいさつのように思えた。(中略)涙があふれそうになった。

p111 「指輪は持ってろ。おまえは、勇敢に指輪を守った。」

p123 そのとき、ティウリの心に、約束をした自分の声が聞こえた。

p127 「われわれは速くはないが、休むことなく、変わらぬ速さで歩きつづけている。」

p134 森をぬけられて、ほっとした。これで、旅の一部が終わったのだ。

p140 「その旅は危険か?」大修道院長がきく。「はい、ヒロニムスさま。」

p169 「さがす必要はない。指輪を持っている。さあ、これだ。」

p173 いまこそ、この手紙を読み、処分してしまうときだ。

p185 ティウリは驚いて、その女の人を見つめた。女の人は若く、ティウリと同じくらいの年ごろだった。

p187 「あなたが何をしたのだとしても、あなたがあの人たちの復讐にたいして身を守るすべがないのは、耐えられません。」

p189 「そなたが何をしでかしたのであろうと、必要であるならば、自分の身を守れるようにしてやりたいのだ。」

p191 少なくとも二人の人が、ぼくのために何かしようと思ってくれた。最後まで抵抗するんだ。助けるに値するやつだ、と城主に納得してもらうんだ!

p195 自分の命のために、手紙のために、戦った。

p196 「あなたがたは、ほんとうに騎士なのか? それとも、そのおろした面頬のうしろに身をかくす、単なるひきょう者か?」

p205 「わたしは、いま、それが、ぬれぎぬであったと信じる。」

p222 「そなたには、秘密があるな?」「はい、リストリディン騎士。」ティウリが言った。

「それが何かは、たずねまい。」

p225 「あなたがたは、わたしたちの味方で、同じ敵を恐れている。」

p226 「エヴィラン国王が、父親と和解したがっているといううわさが流れた。」エヴェイン騎士が言った。「多くの人がよろこんだ。わたしもその一人だった。だが、いまとなっては、わたしは、それを信じることができるかどうか……わからない……」

p227 「……あるいは、娘の与えた武器でもよいぞ。」

p234 「けれども、わたしの秘密は、わたしだけのものではないんです。だから、お話しできません。」

p234 「そうだと思ってたわ。」

p234 「ありがとう、ラヴィニア。」ティウリが、真剣な顔で言った。

p235 「騎士たちは、すぐに旅立つ。」(中略)「そなたは、もちろん、アルダンヴェンに乗っていくのだ。」

【おまけ】

『De Brief voor de Koning(王への手紙)』

オランダで制作された映画です。(2008年/トレーラー)