ことば4~5年(2017/10/17)

福西です。

『二分間の冒険』(岡田淳、偕成社)を読んでいます。この日は13章『みんなの力』を読み終えました。

とうとう竜が倒れました。みんなの力でそれを成し遂げるシーンは圧巻です。竜に「なぜ」と言わせたのです。「言ってはならない言葉」を言ってしまった竜の体じゅうから、うろこが落ちます。それは時間でできています。これまで、儀式で竜が大勢の子供たちから奪ってきた、「若さ」の集まりです。

観念した竜の口から、隠されていた真実が語られます。

──むかし、年老いた王が、なぞのすきな竜ととりひきをした。……

少年たちは、戦いの手を止めて、その話に聞き入ります。すると儀式を主宰する館長は、少年たちに、竜にとどめを刺すよう指示します。

──王よ、のぞみのくらしはたのしかったか。

──王よ、のぞみの、くらしは、たのしく、なかったのか。

竜は、最後に、館長もろとも、建物のがれきの下に埋もれてしまいます。

竜は「この世でいちばんたしかなもの」ではありませんでした。けれども「知らぬことのない」竜に、悟はそっとたずねます。

「この世界で、いちばんたしかなものとはなんだったのだ。」

すると、息も絶えだえに、答が返ってきます。「だれだれにとって」という条件をつけなければ、不完全な問いである、と。

悟は、「この世界でいちばんたしかなもの」を見つければ、元の世界に帰れます。そして、一つの答を思いつきます。

悟が「わかった」というと、これまで彼といっしょだったかおりは、さびしそうに笑います。多感な生徒たちも、その事情をよくわかっているようでした。かおりは、悟が元の世界に帰る手伝いをしてくれます。

「つかまえた!」

けれども、悟はまだ帰れませんでした。ちがっていたのです。いったい、何が正解だというのでしょうか?

残すところ、あと2章。次回は、『見えていなかったもの』です。

 

『二分間の冒険』の次の候補を考えています。消化不良を起こしてはいけないので、はし休めに、短いものを読んでから、また新しい長編を読み始める予定です。

短いものの候補には、

『ポリーとはらぺこおおかみ』(ストー)

『ボッコちゃん』(星新一)

『シュナの旅』(宮崎駿)

長編の候補には、

『星モグラ・サンジの冒険』(岡田淳)

『大どろぼうホッツェンプロッツ』(プロイスラー)

『冒険者たち ガンバと十五ひきの仲間』(斎藤 惇夫)

『ぽっぺん先生の日曜日』(舟崎克彦)

『ぽっぺん先生と帰らずの沼』(舟崎克彦)

を考えています。