「山びこ通信」2017年度春学期号より下記の記事を転載致します。

『中学数学』2〜3年 

担当 吉川 弘晃

 中学数学のカリキュラムは主に数量分野と図形分野の2つに分けられます。前者は文字式、方程式、関数、その他の計算を、後者は作図、平面・空間図形の計測や証明などを含みます。そして、中学数学で求められるのは主に、① 条件や問題文を正しく理解する能力、② 筋道を立てながら解答を進める能力、③ ミスなく計算や証明といった作業を行う能力の3つだと考えています。冬学期では①(問題を正しく読むことの重要性)を扱いました。今回は③について②と関連させながら見ていきましょう。
 現在、中学2年も3年も数量分野、中でも文字式や方程式の計算を中心に学習しています。XやYというふうに文字を置くことの意味を理解することは重要ですが、それ以上に忘れてはならないのは、「計算ではできる限り楽をせよ」ということです。
 授業では毎回、それぞれの生徒さんに合わせたレベルの問題を解いてもらっていますが、そこで毎回感じるのは、折角、正しい計算をしているのにもかかわらず、肝心な箇所でミスをするために失点しているということです。その原因の1つは問題や条件の読み違えで、これについては前回の『山びこ通信』で扱いました。もう1つの原因は煩雑な計算です。
 例えば、文字式を使う必要のある、やや複雑な問題を見てみましょう。

以下を計算せよ(大阪教育大附池田校舎 平成25年度)
20132 −3×20122+2×2013×2012+3×2012×2011−3×2011×2013

解)a=2013 b=2012 c=2011とおく。
与式=a2−3b2+2ab+3bc−3ca
=(a2+2ab−3b2)+(3bc−3ca)
=(a+3b)(a−b)−3c(a−b)
=(a−b)(a+3b−3c)
=(a−b){a+3(b-c)}
=(2013−2012){2013+3×(2012−2011)}
=2013+3=2016

 最初に因数分解ができそうな組を見つけてまとめた後、さらに(a−b)でまとめていくのがポイントです(別の方法もあります)。全体を見て気づくのは、数値の計算をしているのは最後の2行だけであり、しかもその計算は非常に単純であるということです。以上が簡単な計算で済んだのは、=(a−b){a+3(b-c)}の箇所まで文字式をまとめた上で、元の数値をあてはめたからです。しかし、完全にまとめ終わらないうちに元の数に戻してしまうと計算が複雑になる結果、ミスを誘発してしまいます。
 複雑な式のままで正確な答えを導く計算力は是非とも身につけてほしいのですが、その力は本当に必要な時以外は取っておきましょう。むしろ、文字式や方程式をできる限り簡単にした上で、数値の計算では「楽をする」ことがミスを防ぐ最大のコツです。

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