「山びこ通信」2017年度春学期号より下記の記事を転載致します。

『ラテン語初級文法』『ラテン語初級講読』

担当 担当 山下 大吾

 今学期も講読クラスが4クラス開講されております。その内A、C、Dクラスが散文のキケロー、Bクラスが韻文のホラーティウスという内容です。なおキケローとその通信相手の書簡を読み進めているAクラスは、前号でお伝えした前45年のセルウィウス宛キケロー書簡を読了した段階で一旦中断という形になっております。初級文法クラスも含め、いずれのクラスでも新規の受講生を募集中です。講読クラスは文法を一通り終えた方であれば受講可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
 CクラスではCuさんと共に『老年について』を引き続き読み進めておりますが、76節まで進みましたので、全85節からなる同作品の読了に目処がつく段階となりました。振り返れば一昨年の冬学期がスタートで、一語一語丁寧に文法的説明を行い、註釈にも隅々まで目を通されるというCuさんのテクストに対する当初の姿勢は一貫してそのまま維持されています。難易の区別を明確に判断する能力も備えられており、指南役たる当方としても毎週大変有り難く感じております。
 Ciさんと共に『トゥスクルム荘対談集』に取り組んでいるDクラスでは、第1巻の三分の一に相当する39節まで進みました。その39節には、Errare malo cum Platone「私はむしろプラトーンと共に間違うことを望む」という一節があります。プラトーンがキリストに置き換えられた内容の言葉を自身の信仰告白としたのがドストエフスキイです。哲学、宗教とそれぞれの立場あるいは視座の違いはあれども、我々人間のある対象に向かう止むに止まれぬ熱意が、その不条理な側面と共に直截かつ明確に伝わる名言であることに変わりはありません。
 Bクラスでは引き続きCaさんと『諷刺詩』を講読中、現在は全2巻18編中最長となる2巻の第3編に取り組んでおります。今学期も、2巻第2編の最終行にあたる Fortiaque adversis opponite pectora rebus「逆境に対して力強く胸を張れ」という、golden lineと称されるabCABという語の配置の詩行を始めとして、印象深い名句を味わう機会に恵まれました。ただしBクラスとしてそれにも増して印象深い出来事は、amarisという綴りの語を、正解に辿り着く前に、恐らくは何度も繰り返した文法表の暗記作業の結果、Caさんともども動詞amoの一形態、さらにはamaverisの省略形だと瞬時に判断してしまったことでありましょうか。お互い破顔一笑の土曜の昼下がりとなりました。

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