『ドイツ語講読』クラス便り(2017年2月)

「山びこ通信」2017年度冬学期号より下記の記事を転載致します。

『ドイツ語講読』

担当 吉川 弘晃

 授業はドイツ中近世史の入門書(Peter Blickle,Unruhen in der ständischen Gesellschaft 1300-1800)を教科書にオーソドックスな精読スタイルで行われています。すなわち、生徒さんが最初に文章を音読、次に和訳を行い、講師がそれを直したり、文法・語法面での補足説明を加えるというものです。
 しかし、この授業の最大の目的は正しい訳文を作ることではなく、一定のスタイル(今回であれば学術論文形式)のドイツ語の文章を正しく読めるようになることです。そのためには、①論文で頻繁に使われるような表現や語法に何度も触れることでそれらを習得すること、②同じ意味や反対の意味の語彙や表現の組合せに慣れることで文章の構造把握につなげていくことの2点が重要だと考えています。
 例えば①において重要なのはまさに「重要なのは(問題となるのは)~である」という表現ですが、Es kommt auf〔4格〕、Es geht um et〔4格〕、Es handelt sich um et〔4格〕といったものがよく使われます。②について留意すべきは、同じような表現では同じような前置詞や格を用いることが多いということでしょう。例えば、「~を・・・の程度にまで制限する」という表現は、et〔4格〕を取る上に制限の範囲をauf+〔4格〕で表すという構造で理解できます。すなわち、et〔4格〕auf et〔4格〕ein-schränken/ begrenzen/ ein-engenなどです。