「山びこ通信」2016年度秋学期号より下記の記事を転載致します。

『中学・高校英語』『高校英語』(1〜2年)『高校英語』(2〜3年)『英語講読A』『英語講読C』

担当 浅野 直樹

 日本語とは異なる英語特有の表現に注意を払っています。
 大きな文法項目でいうと、仮定法が日本語にはない発想です。学校で初めて習う時はif節やwithoutなどを伴った形を型通りに「もし〜なら…だろうに」のように訳すと習います。条件法なら「…だろう」と訳し、仮定法なら「…だろうに」と訳すのは便宜的な使い分けであって、そのように日本語と一対一に対応するわけではありません。控え目にお願いをする時に用いるwould you ~?のwouldも仮定法で用いるwouldと実は同じです。
 言い回しの水準では、put on ~とwear ~という表現が日本語と発想を大きく異にしています。put on ~は「〜を身につける」という動作を表しwear ~は「〜を身につけている」という状態を表しています。英語では動作と状態を大きく区別します。そのかわりというわけではありませんが、身につける物は服でも靴でも区別しません。日本語では服なら「〜を着る」、靴なら「〜をはく」と区別するのが普通です。
 単語レベルではvalueという動詞に着目したいです。手元のロングマン英和辞典では「1 …を重んじる、(高く)評価する  2 …の価格[値段]を査定する」と書かれています。このような2つの意味があるせいでjudgement of valueについての哲学的な議論に混乱が見られたと英語講読Cで読んでいるEssays in Experimental Logicでは論じられていました。日本語の「評価する」という語は基本的に2の「査定する」という意味であって、「重んじる」という意味は比較的最近見られるようになった例外的な用法です。
 受講生も私も日本語を母語としているので、こうした日本語との違いに注意することで英語の理解が深まります。

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