「山びこ通信」2016年度秋学期号より下記の記事を転載致します。

『ドイツ語講読』

担当 吉川 弘晃

 今学期よりドイツ語講読が開講いたしました。最初の数回ではドイツ語の新聞記事を読み、その後はドイツ中近世社会史の入門書(Peter Blickle“ Unruhen in der ständischen Gesellschaft 1300-1800”)を読み進めていく予定です。
 まだ出来たてほやほやで授業方針は手探り状態ですが、まずはテキストを一文一文精読していくのが基本スタイルです。ドイツ語から日本語に直すだけでなく、指示代名詞が示す対象、重要単語と前置詞の関係性、不規則動詞の変化などをその都度、しっかりと確認しながら講読を進めています。
 それに加えて力を注いでいるのが、類義語や対義語の把握です。例えば、重要な名詞(die Antwort)が出てきたらその元となった動詞(antworten)を質問する、さらにその動詞の他動詞で使う場合の形(beantworten)や似たような意味をもつ動詞(erwidern)もそれぞれ確認していく。形容詞や対義語についても同様です。これらの関係性をホワイトボードに記して整理すれば同じ根をもつ単語群の有機体が一つ仕上がるというわけです。
 この訓練はドイツ語を読む際には特に欠かせません。というのも、ドイツ語は新たな語彙を自由自在に組み合わせて次々に作ることが出来るため、他の欧州言語と比べて、文献を読む際に求められる語彙数が多いため、効率的に多くの語彙を吸収することが大事になってくるからです。これはドイツ語の学習の大変さを意味する一方で、それ以上にその表現の豊穣さをも同時に示しているといえるでしょう。brechen「破る、壊す」という動詞一つをとっても、aufbrechen「こじ開けて破る」、anbrechen「(包装の)口を開ける」、zerbrechen「粉々に壊す」、verbrechen「罪を犯す(倫理を壊す)」、zusammenbrechen「崩壊する」…、と様々に派生できるのです。

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