つくる(2012/2/27)

 福西です。今回のつくるクラスでは、「材料を調達する」ところから取り組みました。

 

ダンボールで何かを作ることはワクワクすることです。けれどもそれが、「ダンボールがある時にしかできない」と、そのようにもし生徒たちが思っているとしたら、「そんなことはない。自分たちで調達して、いつでも続きができるんだ」ということを、いつか伝えたいと思っていました。

 

そこで、この日は生徒たちを連れ、ダンボールを求めて、白川通りへ。

 

「あまっているダンボールはありませんか。もしあったら、工作に使いたいので、分けていただけませんか」と、神妙な面持ちでたずねることが大事です。「ない」と言われるのを覚悟で、勇気を出すことです。けれどもそれが過ぎて、「ないと困るんです!」みたいな顔で(それはこちらの都合で、相手はあずかり知らないことです)気持ちを押し付けるのもいけません。

 

これも一種の社会勉強です。こちらが子供だから許してもらえるだろう、という甘えがあってはもちろん駄目で、言葉の使い方も普段より丁寧でないといけません。

 

予想される言動としては、「ないですか? じゃあいいです」みたいに、フラッとあらわれてぱっと出て行く…これでは、あまりにみっともないことです。要求をただ一方的に通そうとするだけでは、お店の人が不愉快な思いをしてしまい、そんなダンボールは、たとえもらえたとしても、いざ使うときに、後味の悪いものです。

 

またお客さんに迷惑にならないように(それが一番お店の人の気にすることですが)、お店の中に入ったときから気を張って、お店の人を見つけてもすぐに駆け寄らず、「そっと」機を見計らって、「あの…すいません」と頭を下げて頼まないといけません。いわば「ダンボールが欲しい」という気持ちと、「人に迷惑をかけない」という、せめぎ合いです。

 

そういった「ダンボール心得」を、道々歩きながら話して聞かせ、また「どこにダンボールがありそうか」という作戦を立てながら、いざ、私も一緒になって、できるかどうかチャレンジしました。

 

最初にまわったF店では、「いいですよ」とにこやかに応じていただき、さっそくダンボールをわけてもらいました(最初は私がお手本を見せ、それをまねてもらいました)。その「成功」にみんな気をよくして、「次はどこにあるかなあ!」と口々に相談しはじめました。一つずつダンボールを手に持ち(これがだんだん持ちにくくなっていくのですが)、続いて近くのコンビニSKへ。やや興奮気味でしたが、今度もうまく頼めて、みんなダンボールを二つずつ持って、ホクホク。だんだん自分たちで「ああしよう」「次、ぼくが頼んでくる!」「じゃあ、ぼくはみんなのそれまでのダンボール見ておく」(手ぶらでないと店内で邪魔になりますし、道にぼいと置くのも通行の迷惑なので)と役割を意識するなど、意気が上がっていきました。

 

そこで、一人が「G書房にもあるかも」と提案。ただし今度は、「本は小さいからダンボールも小さいかも」という予想が当たって、「それだったら、お向かいのKB店の方が大きいダンボールがあるよ」(つまり「残念だけど、うちにはないんだ。ごめんね」)と。そのような空振りのケースにも、ちゃんと「ありがとうございました」と頭を下げてからお店を出ました。そして、ややがっかりした一同は、それでも気を取り直して、言われた場所へ。(ここで、「ほらなかったやんか」と、口論にならなかったのが偉かったです)

 

KB店はスーパーのような場所なので、そこで私は「ダンボール集め」のコツを一つ。「お店の人には、『裏の資材置き場にあるから、そこから勝手に持っていっていいよ』と言われることが多いので、まずは資材置き場にあることをちゃんと確認してから、頼みに行ったほうが、空振りにならなくていいよ」と。

 

残念ながら、その日はたまたまダンボールの回収日に当たっていたらしく(この後のRM店もそうでした)、いつものダンボールの置いてあるケージの中身は空っぽ。「ううん、残念。ここはなさそうだよ」と言ったのですが、それでも生徒たちは「いや、念のため聞いてみる」と強気。そして実際頼んでみると、なんと事務室かどこかから持ってきてくださって、みんなの手に持たせてくれました。これにはみんなも嬉しかったようです。このあとRM店を最後に(ここは残念ながら少し加えただけでした)、引き返すことにしました。

 

あらかじめダンボールを縛るための「紐」を持っていかなかったことがちょっと悔やまれましたが、そのことでまずまず「欲張らない」程度の重さにおさまったようにも思います。

 

行きは期待に胸を膨らませつつ、帰りは次からこうしたらいいという反省点を述べつつ、総じて楽しい道中でした。(途中、手がしんどくなることもありましたが)。「スーパーは食べ物を扱っているので、やっぱり、ほしいダンボールは意外に少ないんやなあ」とか、「電気屋とか薬局のダンボールは大きくて、宝の山なんだけどなあ」 など、あれこれ言葉は尽きずに、山の下まで到着。

 

そう、最後の難関がまだ残っていました(笑)。ここから上まで、持って上がるというしんどさが待っていました。一人、三枚ずつぐらいでしたが、それでも子供たちには一大事業だったようです。ここはさすがにみんな押し黙って、「重さ」と格闘していました。へこたれた生徒の弱音も何度か聞かれましたが、私は、「このあとのことを思えば、多少のしんどさは当たり前」と応えていました。そしてようやく教室まで到着。

 

こうして、自分たちが持ってきたという「物語」のついたダンボールで、取り組んだ様子が、以下の写真です。

クラスのない日でも、本当はいつでも、自分たちで材料を調達して「思い立って遊ぶ」ことができるのだということを、この日経験したことから感じてもらえれば幸いです。