1/18 歴史入門(高校)

岸本です。

前回の産業革命と同じく、今回は近代へのメルクマールとされるアメリカ独立革命とフランス革命の前半、ナポレオン以前を考えていきました。

アメリカ独立革命とフランス革命、ともに現代世界に大きな影響を与えた出来事です。
前者によって、現代世界随一の強国アメリカが誕生し、後者によって今では当たり前となった国民国家の基礎が築かれ、世界中に広まったと考えれば、その重要性は言うまでもないでしょう。
それを踏まえて、現代のアメリカやフランスとの比較をしながら、その歴史を見ていきました。
例えば、アメリカ独立戦争の契機となったのはボストン茶会事件ですが、その「茶会(ティーパーティー)」は、実態はさておき、現在のアメリカの共和党の支持基盤である「ティーパーティー運動」の名称の由来ともなっています。
また、フランス革命の最中、義勇軍にうたわれた「ラ・マルセイエーズ」は、現代フランスの国歌になっています。
資料集に載せられていたその歌詞の直接的な表現に、生徒さんは驚いていました。
そこから、第二次世界大戦以前の国境をうたったドイツの国歌の一番が公式には歌われないことにも話が及びました。
国歌の問題はこの日本でも常にナイーブな問題です。
海外の歴史も踏まえた上で、身近なその問題に対してバランス感覚のとれた意見を洗練させてほしいですね。

また、両革命における独立宣言と人権宣言は、近代市民社会の原理となったものですが、その理想と現実のギャップもわすれてはなりません。
独立宣言が出されたアメリカでは、当初その理念は原住民と黒人奴隷に対して適用されませんでした。
フランス革命において、人権宣言を最も体現した1793年憲法は革命の混乱の中で施行されることはなく、テルミドールのクーデタの後、革命は次第に反動化していきます。
「アメリカ独立戦争」や「フランス革命」の一言では表しきれない、そのような部分も、しっかりと理解しておくことは、その出来事の重要性ゆえに必要なことだと、私は考えています。

来週は、フランス革命の後半、特にナポレオン以後を扱いながら、フランス革命の成果や意義、また負の面も考えられればと思っています。