「山びこ通信」2016年度春学期号より下記の記事を転載致します。

『イタリア語講読』 

担当 柱本元彦

 もしかすると今春から受講生が増えるかもしれないと期待し、どうしてもやはり難しい古典は避けることにしました。読みはじめたのは、ナポリの作家で現代イタリア文学界の長老、ラッファエーレ・ラ・カプリアの『四つの愛の物語 4 storie d’amore』です。半世紀ほど前に書かれた難解な長編 “Ferito a morte” で有名なラ・カプリアは、永遠に失われた過去のナポリを嘆いた後、年を経てどうやら自在の境地に達したらしく、このところ戯れるがごとく気のおもむくまま書き散らしています。そんな物語的エッセーは読みやすくて味わい深いものがあり、受講生の募集をしながら次のテーマを決める準備期間にちょうど良さそうに思われました。けれども新参者は現われないようですね・・・なので四つの物語のうちの二つだけで切り上げることにしました。それからはまた講師の趣味に走りまして、モーツァルトのオペラ台本をとりあげます。実は以前、詩の韻律を勉強するためと称して、この授業で『ドン・ジョヴァンニ』を途中まで読みました。そしてダンテやペトラルカやアリオストに挑戦したわけですから、ぐるっと一回りして二年ぶりに出発点へ戻ってきたようです。まずは残っている『ドン・ジョヴァンニ』の後半を読み終え、秋学期からはできれば『フィガロの結婚』や『コジ・ファン・トゥッテ』に進みたいと思います。『後宮からの逃走』がドイツ語なのは残念ですが、いわばその「初版」と言えなくもない『ツァイーデ』をカルヴィーノが再構成しています。『ティートの慈悲』『イドメネオ』『偽の女庭師』『牧人王』や『ミトリダーテ』にまで手を出すかどうかはさておき、ともかく、モーツァルト=ダ・ポンテの三部作のように、イタリア語を知っていてよかった!と思える作品には滅多なことで出会いませんから、賛同される方、受講生まだまだ募集中ですのでよろしくお願いします。

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