中学数学B(2016/5/12)

福西です。

3年生のYuwa君は、先週、「集合」(学校がかなり先取りして進んでいる)の問題をしていたので、その復習範囲として、場合の数や確率のプリントをしておさえました。そのあと、しつこく(毎週の課題として)二次関数の復習をしました。

2年生のYuta君は、「試験2週間前なので、『資料(データ)の整理』の問題をしたいです」と言ってくれたので、それをしました。

「中央値と階級値は何が違うのですか?」

という質問があったので、それをかいつまんで説明しました。

たとえば次のような(15人の)データがあったとします。

点 階級値 人数(度数)

0~2 →1  11

2~4 →3  1

4~6 →5  0

6~8 →7  0

8~10 →9  3

→の横に書き直した値が、「階級値」です。階級値は、各階級の真ん中の値(端と端の「平均値」)のことです。

そして、この階級値に出てきた「真ん中」という言葉が引っかかって、Y君の中で「中央値」という名称との混乱が生じたようでした。

 

全データを代表する値(代表値)の選び方には、平均値のほかにも候補があります。

その一つとして、

「値の小さいほうから数えていって、真ん中に来るデータの値」のことを、中央値といいます。

「背の順」の例で言うと、39人いれば、20番目に立っている人の身長を、そのクラスの代表値として選ぶことを意味します。

作業としては平均値を取るよりも原始的です。

「中央値は何も難しく考えることはない。指で追っていけばいいだけ」ということに、Y君も安心してくれました。

 

上の例で具体的に見ていきます。

中央値も、平均値と同様に、全員で何人いるか(データが何個あるか)をまずおさえます。

全員は15人います。ということは、真ん中の人は8番目です。

そして、中央値を求めるには、その8番目がいるところを「1、2、3・・・」と数えていけばいいです。

8番目の人は、「0~2点」(階級値は1)のところに属しています。

よって、上のデータ集合の中央値は1となります。

一方、平均値を計算すると、

(1×11+3×1+9×3)/15

=41/15

=2.733…

となります。

つまり、上の例では、ほとんどの人が「平均値以下」であり、また平均値付近に実態がほとんどないことが分かります。

むしろこの場合は、中央値1の方が、

「1点の人がたくさんいる」

という実態と合っていると言うことができます。

よく言われることですが、マスメディアで取り上げられた統計データは、しばしば平均値を疑って、中央値で考えるといいことがあるかもしれません。(という話も、ちょっとしました。)

 

また、Yuta君は「相対度数とはなんですか?」という質問をしてくれたので、「面積(比)」の考えで説明しました。その層が全体の何パーセントを占めるかということを明示した概念です。

上の例だと、「0~2点」の人数(11人)が全体(15人)に占める割合は、

11/15

=73.3%

と計算できます。

これが「相対」度数です。「全体の~」とつくのが、「相対」の意味です。

 

それをなぜ考えないといけないかというと、たとえば、鉛筆たおしで、「1cm2の幅の的に当たった!」と言う人と、「10cm2の的に当たった!」という人とでは、1cm2の的に当たる方がすごそうです。けれども、「全体が何cm2での話なのか?」まで考えないとフェアではありません。

仮に10cm2のうち1cm2が当たりの的と、100cm2のうち10cm2が当たりの的ならば、実はどっちも当たりやすさは1/10で同じだった、ということになります。

ちなみにYuta君は、

「学校では1/10はだめで、0.1と書かないといけない」

と言って、首をひねっていました。1を100%とし、0.1の方が10%と換算しやすいからだと思います。ただ、割合という意識が働いてさえいれば、本当はどっちでもいいと私は思います。むしろ「割合を意識する」ほうが大事です。

 

Sちゃんは、連立方程式の文章題をしていました。

Sちゃんの教科書を見ると、「今日はこれをする」ということで印がしてありました。

「学校の授業で解説を聞いたけれど、自分では最初できなかった」

ということでした。それに自分で印をつけて、解き直す時間を持ってくれていました。

連立方程式の問題では、文章を読み解いて、式を二本作り出すことができれば御の字です。

それについては、Sちゃんは自分でできていたので、特にヘルプが必要なところはありませんでした。

「~式を~式に代入」「~式を~倍」と、丁寧に解き方の流れを示す文章を書いていました。

Sちゃんに私が助言したのは、一つだけです。

Sちゃんは、答が出た後、とっさに「これは題に適する」と書いていました。その「適する」という文言を無意識で書いてはいけない、ということです。

「あるコンサートで見込み(x+y)と実際(0.9x+1.1y)との差が50人だった」という文章があって、

x=y=2250

という答が出たのなら、

x+y=2250×2=4450

0.9x+1.1y=2025+2475=4500

と計算し、晴れてその差が「50であること」を確認して、はじめて、

「これは題に適する」

と書くことができます。