「山びこ通信」2015年度冬学期号より下記の記事を転載致します。

『新約ギリシャ語初級』 

担当 堀川 宏

 このクラスでは現在、『マタイによる福音書』をゆっくり読み進めています。ギリシャ語原文が持つ表現上の特徴を確認しつつ、翻訳では消えてしまいがちなニュアンスを汲み取るように努めながら進んで、ようやく第7章に入りました(2月上旬現在)。語順による意味の力点の調整や、人称代名詞の主格形が明示されることによる対比の効果など、原文を味読する楽しみを存分に味わっています。
 新約聖書は言うまでもなくキリスト教の聖典であり、そこには教義上の問題などもあるでしょう。しかしそれらをひとまず措いて、古代に書かれたひとつのギリシャ語テクストとして聖書を見るとき、当然のことながら、そこには書き手による表現上の工夫が溢れています。書き手が施したその工夫にしっかり反応しつつ、抽象的な教義や思想からテクストを解釈するのではなく、テクストから意味が立ち上がってくるような読み方を、この授業では心がけようと思っています。

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