山びこ通信2015年度秋学期号より下記の記事を転載致します。

『ラテン語初級』『ラテン語初中級』『ラテン語中級』 『ラテン語上級』

担当 広川 直幸

 ラテン語初級では、Hans H. Ørberg, Lingua Latina I: Familia Romanaを教科書に、ラテン語の初歩を学んでいる。10月12日の時点で31課の終わりまで進んだので、そろそろゴールが見えてきた。重要文法項目も残すところ接続法・完了と過去完了だけである。31課でgerundivumの導入があまり上手く行かなかったのではないかと危惧しているが、gerundivumは動形容詞の一種であるから、形容する要素に性・数・格を一致させるという大原則を意識して復習をしてもらいたい。必要であれば追加説明を行うつもりでいる。

ラテン語初中級では、ラテン語に慣れるために、カエサルの『ガリア戦記』を講読している。テキストは、敢えて統一を避け、受講生はインターネット上のPHI Latin Texts所収のO. Seel校訂版(旧トイプナー版)を用い、私はW. Hering校訂の現トイプナー版を用いている。今学期中には第1巻が終わる。その後も『ガリア戦記』を読み続けるか、他のものに移るか、今のところ未定である。

ラテン語中級では、春学期にHans H. Ørberg, Lingua Latina II: Roma aeternaを読了し、秋学期は心機一転タキトゥスの『アグリコラ伝』に取り組んでいる。テキストと註釈は、2014年に出版されたばかりのA. J. Woodman, C. S. Kraus, Tacitus: Agricola(ケンブリッジの黄色と緑のシリーズ)を基本にしている。圧縮された表現が難解で、一度に進む量は今のところOCT版1ページ程度である。『アグリコラ伝』はあまり長くないので、今のペースで進んだとしても、来年の夏には読み終わる。文体に慣れながら、徐々にペースを上げて行ければと思っている。

ラテン語上級では、引き続きカトゥッルスをゆっくりと読んでいる。テキストと註釈はD. H. Garrison, The Student’s Catullusの最新第4版を用いている。もちろん、これだけでは到底太刀打ちできないので、様々な文献を参考にしている。ところで、罵倒を目的とした猥褻表現が頻出することに受講生が驚いていたが、考えてみれば、古代ギリシャ人も現代ヨーロッパ人もそのような表現によって悪口を言うことが多い。そういう伝統があるのだろう。それをそのような習慣がほとんどない日本語に訳してしまうと猥褻さばかりが際立つ結果となる。これを機会に訳読とは何かを改めて考えてみるのもよいかもしれない。

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