『しぜん』B2・C2 (クラス便り2015年6月)

「山びこ通信(2015年度春学期号)」より、下記の記事を転載致します。

『しぜん』(B2・C2)          担当 小坂 諒

「しぜん」では、B2・C2どちらのクラスでも、山の学校に生徒が集まったらすぐに校舎を出て、走って山へ向かうという授業スタイルを貫いています。自然の中にいると時間はあっという間に過ぎて行きます。「しぜん」の先生はもちろん私ではなく「しぜん」そのものです。出来る限り長い時間山の中で過ごしてもらいたいので、とにかく授業では雨が降っていようと時間ギリギリまで山の中で過ごすことにしています。どちらも初回の授業では私が自己紹介をした後は、すぐにノープランで山に入り、自由に山で遊びました。木に登ったり、チャンバラをしたり、落ち葉を集めたりと楽しみ方は人それぞれでした。2回目以降はそれぞれのクラスの特性を生かして生徒主体で授業を進めています。

yamabiko2015_spring-3_2 B2のクラスでは、生徒達の秘密基地を作りたいという言葉をきっかけに秘密基地づくりを進めています。自然に男の子達が太い木をノコギリで切り、女の子達が細めの木を支柱に立て掛けていくというふうに役割分担して、すぐ形になっていきました。全員が入れるぐらいに大きくして、最後は屋根になるシートを被せて完成です。完成したら、みんなで中に入りお湯を沸かし山で採れたもので何か飲むことができたらなと考えています。何も言っていないのに秘密基地の中で使う椅子をつくったりと、山では生徒達の行動力や想像力が自然と上がっているような気がします。

yamabiko2015_spring-4_1 C2のクラスは、生徒のみんなが1年生の男の子ということで、とにかく元気なので付いていくのが精一杯です。初回の授業では雨ということもあって奥まで行けませんでしたが、その反動もあって2回目の授業では時間がある限り山を突き進んで開けた場所でひたすら遊んで、落ち葉で埋もれた急な坂を滑って校舎に戻ってくることにしました。開けた場所を見つけると生徒達は私が何も言わなくても、自由に自分たちで遊び方を考えていました。
この機動力を生かして今後の授業でも、とにかく山を突き進み毎回違う場所へ行こうと考えています。川まで行って焚火をしたり、隔週で80分という限られた時間なので、山でしかできないことを出来る限り経験してもらいたいです。

中学、高校とあがるにつれて自然の中で過ごす時間は少なくなるものです。長い時間を空けて、大人になってから次の世代に自然のなかで様々な経験をしてほしいと思うのは自らの幼少期の貴重な経験があってこそです。そのもとになる経験を積むことが「しぜん」という授業なのではないかと感じます。自然に対する畏怖と尊敬の念を抱いた大人になるには、多感な幼少期に山で様々な経験をした過去が必要だと思います。
「しぜん」では、目的を持って山に入るのではなく、山に入る事が目的です。その先は「しぜん」という偉大な先生が生徒達になんでも教えてくれます。