「山びこ通信(2014年度冬学期号)」より、下記の記事を転載致します。

『ギリシャ語初級』『ギリシャ語中級A・B』『ギリシャ語上級』

担当 広川直幸

 今学期から新規開講したギリシャ語初級ではPeckett & Munday, Thrasymachusを教科書に受講生三名と古典ギリシャ語の初歩を学んでいる。長らくThrasymachusのリプリントを出版していたBristol Classical Pressがハリー・ポッターで有名なBloomsburyに吸収合併された関係で教科書が入手しづらいという予期せぬ問題が起きたが、それも何とか解決し、ようやく授業が軌道に乗ってきたところである。以前Thrasymachusを用いて教えた時は中学生が受講生だったので、文法の説明をしてから本文読解に進むという形式を取った。Thrasymachusはラテン語既習者を対象としているため、ラテン語の学習あるいは英語以外のヨーロッパの言語の学習を通じて屈折という現象に親しんでいることが前提となっているからである。今回は語彙集のみを頼りに本文読解をした後で文法解説をして練習問題に進むというThrasymachus本来の順序に従って進めている。簡単に言えば「発見的学習法」である。天下り式に与えられた文法規則にがんじがらめにされるよりも、自分で法則を発見しながら学ぶほうが面白く効果的であると思う。このやり方だと疑問点や不確かな点が山のように現れることは承知の上で行っているので、どしどし質問してもらいたい。
 ギリシャ語中級Aでは受講生一名と『イーリアス』を一回に30行程度読んでいる。先学期終盤に第22歌を読了し、現在は第24歌を読んでいる。2月6日の時点で222行まで進んだ。テキストには引き続きM. L. West校訂のトイプナー版を用い、註釈にはC. W. Macleod, Homer: Iliad Book XXIV(ケンブリッジの黄色と緑のシリーズ)を用いている。
 ギリシャ語中級Bでは受講生二名とプラトーンの『パイドーン』を読んでいる。テキストと註釈はBurnetとRoweを併用して、一回の授業(2コマ分)で2~3ページ程度読み進めている。1月24日の時点で99dまで進んだ。ちょうど「第二の航海」についてソークラテースが語り始めるところである。この調子で行けば、春学期で読み終えることができるかもしれない。また、North & Hillard, Greek Prose Compositionを用いた作文の練習はExercise 104まで進んだ。
 ギリシャ語上級は昨年末についにソポクレースの『オイディプース王』を読み終え、新年初回からアイスキュロスの『テーバイ攻めの七将』を読み始めた。受講生は一名。非常に難解なので一度に進む量はそれほど多くない。1月27日の時点で107行まで進んだので、平均すると一回に26、7行である。テキストはM. L. West校訂のトイプナー版を用いている。註釈にはソポクレースにおけるJebbのようにまずはこれをというものがないのが悩ましい。ひょっとするとCollardの英訳が一番役に立つかもしれない。

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