福西です。
冬学期が始まりましたが、すっかりアップできずに申し訳ありません。

秋学期は『扉の書』を1~6までしました。そのうち、こんな問題をしました。

「あなたの目の前には4つの箱があり、それぞれ赤白黒の玉が2つずつ入っている。そのパターンは赤赤、白白、黒黒、赤黒が1つずつである。もともと箱の外側には中身を示すラベルが貼ってあったが、残念ながら、私が「すべて」その中身と一致しないように貼りかえておいた。
さて、その箱から、ためしに2度まで、玉を1つ取り出してもよい。(ただし中身を見てはいけない。またその玉は1回取るごとに元に戻さねばならない。もしその約束を破れば、目の前の石像が動き出し、そなたにおそいかかってくるであろう)。
そして心ゆくまで考えてから、本番の玉を1つを取り出すのだ。もし白が出れば元の世界に戻れよう。だが赤か黒が出れば、ここに永遠に取り残されるのだ」

[箱A] ラベル:赤赤  [箱B] ラベル:白白  
[箱C] ラベル:黒黒  [箱D] ラベル:赤黒

「これって…前にもやったことある?」と、Sちゃん。そうです。実は今回の『山びこ通信』でもご紹介した問題の発展バージョンです。(箱が3つから4つに増え、試しに引ける回数も2回になっているのが違います)

さて、Sちゃんは問題をよく読んで、白が出てくる箱が白白しかないことに気付きました。つまり、試しに引いてみて、白が出れば、自動的にその箱が「100%助かる箱」だと分かったのです。従って、Sちゃんの戦略は、「2回試して、白白の箱を見つけること」となりました。そして以下のように答えてくれました。

boxes.jpg
<Sちゃんの解答>(以下は答案に書かれた文章そのままです。([]だけ私の補足です)

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最初に取るのは、箱D。


そして、取った玉が、白だったら、[Dは]白白の箱。
もし、赤の玉を取ったら、そこは、赤赤の箱。
黒の玉を取ったら、黒黒の箱。


最初に[箱Dで]とったのが赤だった場合
箱Dは赤赤。
箱Aの玉を取る。
それで、白がでたら、白白の箱。
赤がでたら、赤黒の箱。
黒がでたら、赤黒か黒黒の箱。
でも、その箱は、白の箱ではないから、のこった箱Cが白白の箱。(箱Bは、ラベルが白白になっていて、問題をよむと、「中身と一致しないようにはりかえておいた。」とかいてあるので、箱Bは、白ではない。)

最初に取ったのが黒だった場合
箱Dは黒黒。
箱Cの玉を取る。
それで、白白がでたら、白白の箱。
黒がでたら、赤黒の箱。
赤がでたら、赤黒か赤赤の箱。
赤[先の「最初にとったのが赤だった場合」]の説明と同じで、のこった箱Aが白白。
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このSちゃんの解答によれば、
「1回目を試して箱Dが白なら、箱Dを引けば助かる。赤なら、箱Aで2回目を試して、白が出たら箱Aを引き、赤か黒が出たら、箱Cを引けば助かる。同様に、箱Dが黒なら、2回目は箱Cを試して、白が出たら箱Cを引き、赤か黒が出たら、箱Aを引けば助かる」

ということになります。正解です。かなり高度な場合分けですが、見事にやってのけてくれました。しかもそれを頭の中で、あるいは口頭ではなく、「文章で示せた」ということが大きな収穫であり、また達成感の所以です。

途中でSちゃんが「こんなにだらだら書いてもいいのかな…」と不安げに言うので、私は「むしろそれが『いいこと』とされるのが算数」だと答えました。論理的に飛躍がなければ、それは誰が読んでも普遍的な答で、その普遍性を重視するのが算数だ、ということを説明しました。(そのように性格が違うからこそ、今のSちゃんの言った文章感覚を大事にする国語と、算数との両方とも学ぶ必要があるのだと思います。)

そしてSちゃんは、最後の一文(写真では青で書いた場合分けの部分)を書こうか書くまいか、実は五分十分逡巡していました。それは同じことの繰り返しだからです。けれども、証明を一つの完璧なものにするためには、せっかく場合分けをしておいて、言及していない欠けた部分があってはなりません。一方、それを簡略したい時は、「同様に~」という書き方があります。しかし、Sちゃんはもちろんその書き方を知らないので、どうしようか迷っていたわけでした。分かります。でも、それを書かなければ、解答の上では、最後に残った「場合」については「何も考えていない」ことと同じになってしまうのです。厳しいことですが。

Sちゃんは、書き始めると、案外簡単な作業であることに気付きました。なぜなら、ただ前の場合分けの文章を「写す」だけでいいからです。実際、作業自体は五分程度だったと思います。でも、このピースが「あるか、ないか」で、このSちゃんの答案は、その価値が何倍にも変わってしまうのです。(まさに「画竜点睛」の睛の部分です)。その解答の最後には「赤の説明と同じで」という書き方があります。Sちゃんらしいサイン、「Q.E.D.」だと思いました。

最後に「書くのは大変だった?」と聞くと、Sちゃんは「でも、結構楽しかった」と朗らかに答えてくれました。自信と満足の程がうかがえました。

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