「山びこ通信(2014年度秋学期号)」より、下記の記事を転載致します。

『ラテン語初級文法』『ラテン語初級講読』(A・B・C)

担当 山下大吾

 
 初級文法クラスでは、前学期に学んだ範囲を復習する形で新たな項目に取り組んでおります。既に接続法や能相欠如動詞を終え、今学期末の課程修了に向けて順調に進んでいます。受講生のAさんも、課が進むにつれて、大学で学んでいるドイツ語文法との関連性が増していくことに喜んでおられるようです。接続法もいずれ出てきますので、是非参考にしてください。課程の最後には『ガリア戦記』冒頭の講読を予定しています。
 講読クラスは前学期と同様、A、Cクラスではキケロー、Bクラスではホラーティウスを読み進めております。なおCクラスでは『友情について』に取り組んでおりますが、受講生のご都合で今学期はまだ開講されておりません。前学期終了時点で、全体のおよそ3分の1に当たる31節まで進んでおります。
 Aクラスでは去年の5月から読み進めてきた『老年について』の読了がいよいよ間近となりました。受講生のHさん、Aさんの不断のご努力、熱意に心から拍手を送りたく存じます。プラトーンやクセノポーンなどギリシア人の作品を引用し、同郷人であるローマの先達の言動をも逐一挙げ、魂の不死に対する確信を二人の若人に述べ伝える大カトーの言葉から、キケローその人の全力を傾ける姿がまざまざと浮かびあがります。プラトーンの引用はかつて『スキーピオーの夢』でわれわれ三人が目にしたもの。その折読んだ「常に自ら動くものこそ永遠である」の言葉が、その動詞に現れている例外的用法と共に胸によみがえりました。次回は文学を讃える言葉に満ちた弁論『アルキアース弁護』に取り組む予定です。
 Bクラスでは今学期の初めにフロールス宛て書簡を読み終え、現在は『書簡詩』の1巻に取り組んでおります。受講生は引き続きCさん、Mさんのお二方です。今回もNon eadem est aetas, non mens「年が違えば心も変わる」(1.1.4.)など、「三つ子の魂百まで」と対をなす名句が早速出てきました。またホラーティウスにとっては容易なのかもしれませんが、同格あるいは同一表現のみを連ねて構成された一行(Viribus, ingenio, specie, virtute, loco, re「力量、才能、見栄え、徳、地位、財産の点で」2.2.203. 他にも2.2.173; 1.1.38;『詩論』121)など、意味を取る前に、何よりラテン語の形式の美しさにつられて思わず口ずさみたくなるような詩行に接する楽しみも、彼の作品の有する魅力の一つと言えるでしょうか。硬く真剣なテーマの中に、心の和むユーモアを巧みに散りばめる。そのような彼の詩行を読み解く豊かな時間が毎週末展開されております。

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