『将棋道場』(イベント便り2014年6月)

「山びこ通信(2014年春学期号)」より、イベント便りを転載致します。

『将棋道場』 担当:百木漠

毎年、4・5月には新しくたくさんの子供たちが将棋道場に参加してくれます。5月の将棋道場は20名ほどの子供たちが参加してくれ、久しぶりに満員御礼状態になりました。まだ駒の動かし方も知らない子や、ルールを覚えたての子、お父さんやおじいさんと指したことはあるけど子供どうしで指すのは初めてという子など、いろいろなレベルの子たちが参加してくれています。将棋道場では、ルールを知らない子でも一から教えますので、安心してご参加ください。

ひととおり駒の動かし方とルールを覚えたら、そのあとはすぐ実戦。同じくらいのレベルの相手と指しながら、少しずつ細かいルールや指し方のコツなど覚えていくのが一番だと思います。最初のうちはやはりなかなか勝てないものですが、誰でも10局、20局と指せば、だんだんと勝てるようになってきます。そのあたりから、少しずつ玉の囲い方や、定跡、手筋など、見よう見まねで覚えるようにしていけば、さらに強くなれます。例えば、棒銀を覚える、美濃囲いを覚える、穴熊に組んでみる、など少しの工夫でぐっと勝率は上がります。そのうえで詰将棋なども解くようになれば完璧でしょう。

ときどき、大人の方からも「久しぶりに将棋をやってみたいんだけども、なかなかその機会がない」という話を聞きます。あるいは「今から将棋を始めても強くなれるものですか?」と質問をされたりもします。そこで私がよく引用するのは、プロ棋士の羽生善治さんの名言、「誰でも、どの時点からでも、努力すればアマチュア初段にまではなれる」です。たとえ、50代や60代の方が将棋を始めても、実戦を積み重ね、多少の定跡や手筋を覚え、3手詰めや5手詰めの詰将棋を解けるようになれば、アマチュア初段にまではなれる。だから将棋は何歳から始めるのでも遅いということはありません。あまり難しく考えず、とりあえずたくさん指していれば、自然と強くなっていくのではと思います。

かく言う私も、小学生~高校生のあいだに将棋にハマり、毎週のように関西将棋会館に通って、高校生のときにアマチュア初段を取りました。高校生のときは将棋部に所属し、一度だけ高校生の全国大会にも出場しましたが、それが自分にとっては最上の舞台で、今でもアマチュア初段止まりです。二段、三段以上に上がるまでには、またひとつ別の壁があるように感じています。

とはいえ、アマチュアでも5級くらいのレベルになれば、それでひととおり将棋のことはわかりますし、テレビの将棋番組など見ていても十分に楽しめるだろうと思います。また最近は、インターネットでの将棋中継やスマートフォン用の将棋アプリなど、さまざまなかたちで将棋を楽しめる環境が増えてきているようです。自分ではあまり将棋を指さず、プロの対戦を見て楽しむファン(観戦専門の将棋ファン)も増えてきているようですし、大人の方でも、関心ある方は今から将棋を始めてみてはいかがでしょうか。私自身も最近ではニコニコ動画の将棋対局中継、スマートフォンの将棋対戦アプリ(将棋ウォーズ)、将棋連盟モバイルなどで将棋を楽しんでいます。そのうち、大人向けの将棋道場イベントなどを企画するのもいいかもしれませんね。