「山びこ通信(2014年春学期号)」より、クラス便りを転載致します。

『ラテン語初級文法』『ラテン語初級講読』(A・B・C) 担当:山下大吾

今学期から、次学期までの2学期制の予定で初級文法クラスが新たに開講されております。受講生は現在Aさんお一方、大学でドイツ語の初歩を学びながら学習に勤しんでおられます。共にいわゆる印欧諸語に属する言語ですので、格の諸機能など、性格の重なる点を参考にして(但し文法表の諸形態は重ならないように!)、楽しく学んでいただければと期待しております。

講読クラスでは前学期と変わらず、A、Cクラスではキケロー、Bクラスではホラーティウスに取り組んでおります。それぞれホラーティウス(『詩論』147-148.)の述べる、ホメーロスの叙事詩技法in medias res「事件の核心へ」とは相反する形で、ab ovo「卵から」に従って、つまり作品の冒頭からじっくりと読み進めておりますが、これは講読の有効な一手法としてホラーティウスも認めてくれるのではと考えております。そういえばab ovoはプーシキンもある韻文作品で引用している語句でした。

Aクラスでの『老年について』では59節に入り、振り返れば既に全体の3分の2ほどを読み終えたことになります。受講生のHさん、Aさんお二方も、単にラテン語の読解という側面のみならず、今までに読み進めてきた他のキケローの作品、特に『友情について』で得られた読書体験の生かされる機会が次第に多くなっているのではと思われます。

Cクラスではその『友情について』を前学期に引き続いて読み進めております。受講生はCiさんお一方です。10節で見られる、小スキーピオーの死に直面し、悲しみ打ちひしがれる自らの立場を認めつつも、そのような行為は結局友人を愛するものではなく、自分を愛するもの、言わばナルシストのする行為に他ならないのだという趣旨のラエリウスの言葉をラテン語原典で読まれた際、感嘆の声を漏らされたCiさんの表情が今でも印象に残っております。それはヨーロッパの教養教育に対する礼賛の言葉にもなっていました。

Bクラスでは前学期中に『詩論』を無事読了し、その後読み進めてきたアウグストゥス宛て書簡(『書簡詩』2.1.)もまもなく読了の予定です。受講生のCaさん、Mさんお二方も、ヘクサメトロスの韻律や、散文に比べれば多少複雑な語順など、韻文ならではの事情にも大分馴染まれてきたようです。先代の喜劇作家プラウトゥスに対する否定的な評価など、文学史的に見て興味深い側面のみならず、Graecia capta「捕らわれたギリシア」の一節(『書簡詩』2.1.156-)を初めとして、印象深い名句をラテン語原典で味わえる週末のひと時は一際活気に満ち、充実した時間が流れております。引き続きフロールス宛て書簡(『書簡詩』2.2.)に取り組む予定です。

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