『つくる』クラス便り(2014年6月)

山びこ通信(2014年春学期号)」より、クラス便りを転載致します。

『つくる』 担当:福西亮馬

Aクラスは、1~2年生のクラスです。工作好きの男の子が集まってくれました。春学期は、空き箱を使って、思い思いに工作を展開してもらいました。丸い筒が、望遠鏡に見えた人はそれを作り、戦車の大砲に見えた人はそれを手がけ、ロボットの胴体に見えた人は…と、想像することは様々です。私自身が童心にかえり、「それええなあ!」と、生徒たちの「カッコいい」を応援しています。

最近では、ダンボールで剣や盾を作りました。このテーマは生徒たちのイメージを特に刺激したようでした。ダンボールを折り曲げて芯材を作ることは、適度に彼らの「思い通りにならない」ことで、反対にセロテープでぐるぐる巻きにすることは、適度に「思い通りになる」ことでした。またその間に克服できたこととが織り交ざり、バランスよく充実した取り組みとなりました。

イメージは自分だけの宝物です。それをどうやったら形にすることができるか。そのための工夫をクラスで見つけ出し、できたことを「おお!」と喜び合っています。

新しい道具の使い方もこれから応援していくところです。切る道具には何を使ったらいいのか。カッターナイフか、はさみか、ドリルか、錐か、やすりか、ペンチか、のこぎりか、それとも素手でいけるのか。接着には何が適しているのか。上からガムテープで貼ればいいのか、中から両面テープで固定すればいいのか。あるいは接着ではなくて全体を削って小さくするのがいいのか。固定した場所を回転させたい場合はどうすればいいのか。穴を開けて棒を通せばいいのか、それともネジで留めた方がいいのか。さらに仕上げは何で着色すればいいのか。ペンか、スプレーか、色画用紙か、はたまた色つきの布テープか。

時と場合、材料と道具に応じて、工作の裾野は様々な方向へ広がります。一見して、私が「それはちょっと無理かな…?」と思うようなやり方でも、「やってみたら、できた!」という生徒の声を聞くことがあります。そうした時は、私の方が驚かされる番です。

「このやり方は、ぼくが得意にしてるやり方なんや」と口にできる生徒は「すごい」と思います。勝ち癖をその都度得られるからです。あるいは「そうか! こっちの方が便利やった」と、違った方向から試した人もまた「すごい」です。いずれも「やってみて分かる経験」を蓄えていることになります。

Bクラスは、3年生以上のクラスです。今期は「動く物を作りたい」という生徒と、中学生のロボット工作に興味のある生徒と、2人で取り組んでいます。そこで「電子工作入門」にあたることをしています。

最初は、「タワシ号」を作りました。このからくりは、土台のブラシの毛が、モーターの振動で「猫じゃらし」のようになって前進します。また「リード・スイッチ」という部品を使って、磁力でスイッチングします。作り方と原理はインターネットにある情報を拝借しましたが、モーターや電池ボックスをどうすればタワシの毛の上に固定できるのかといった現実問題をクリアするところで、小学生ならではの柔軟な発想が見られました。特にホットボンドが活躍しました。そして、モーターからタワシにうまく震動が伝わらないのをどうすればいいかと考えて、モーターの軸にプラスチック製のギアを取り付けたり、そのギアにもホットボンドを塗ってわざと振動が不均一になるように加工したり、そしてゴムを巻いてモーターの取り付け位置を微調整したりというような工夫をしてくれました。また、スイッチ用の磁石を手で持つのではなくて、割りばしの先に取り付けるといった、ちょっとした工夫こそが実用的で感心しました。

他にも、同じくリード・スイッチを使った「(電池がなくなるまで)回り続けるコマ」や、電磁石の原理で動く「コイル・モーター」などを自作ました。特にコマが回った時には、「ほんまや!」となり、純粋に好奇心を揺さぶられる体験を共有しました。

そうは言っても、「百聞は一見にしかず」です。両クラスの具体的な雰囲気は、山の学校のブログにある写真をぜひご覧ください。