『山びこ通信』2013年度冬学期号より、クラスだよりを転載致します。

『高校・中学英語』 担当:吉川弘晃

山の学校に講師として赴任してから間もなく1年がたとうとしています。毎回の授業の流れには慣れたものの、生徒さんに教えていく日々は、自らの語学に対する真摯さを常に問い続ける日々でもあります。Dum docent discunt.(教える一方で学んでいる)の精神を常に忘れずに生徒と講師が共に成長できる場を引き続き作っていければと思います。

私の授業で大事にしているのは、どんなテクストに出会った場合でも(文章に限らず会話や映像といった媒体でも)対処できるような「実用性」のある英語です。この習得にきわめて重要になるのが確固とした語彙力です。語学の習得は、頭で把握するための「理解」とそれが瞬間的に使えるようにするための「反復」の2つの要素が組み合わさってはじめて成立します。そして、この語彙力は後者にあたります。

冬学期は高校受験を控えた生徒さん向けの対策を中心に授業を行いましたが、基本的な教育姿勢は春学期や秋学期とそこまで大きく変わりません。焦らずに基本的な知識を何度も様々なケースの中で繰り返して身につける、これだけです。しかし、強いて言えば、春学期が「理解」中心だったのに対して、秋学期及び冬学期では「反復」のほうに重点を移しております。

冬学期の学習の中心になるのが、まず長文読解の演習です。秋学期までで教科書やドリルで英語のルールである文法を身につけたわけですが、それを使って実際に試合をするのが長文読解です。説明文や日記、さらには会話形式など文章の形式は様々ですが、どれにおいても大切なのは文の筆者が読者に何を伝えようとしているのかを正確に読み取ることです。だからこそ、私は生徒さんに毎回、内容把握問題にはじっくりと時間をかけるよう注意を促しています。

当然ながら、内容把握問題はその名の通り、文章の内容が正しく理解できているか否かを問うので小手先のテクニックは通用しません。問題文を読むときは筆者の主張や感情が書いてある箇所には下線を引かせたうえで、選択問題の場合、1つひとつの選択肢をじっくり吟味して間違っている箇所には×で印を記入させます。最初は問題用紙をきれいに使っていた生徒さんも学期が進むにつれて問題用紙の「汚し方」が分かるようになるとともに、問題の正答率も上がっていきました。

しかしながら、大事なものは細部に宿ると言うように、1つひとつの文章の正しい読解ができなければ全体を把握することはできません。その対策として1年を通じて行っているのが、音読の練習です。単語は正しく発音し、文節は意味の区切りで切る。基本的なことですがコツコツとした訓練を積まねば上達しません。黙読しながら英語の音声が頭から聞こえてくるようになればようやく第一歩が踏み出せたといえます(私自身は第二歩に苦労していますが…)。リスニングのスクリプトも同様の練習を行います。

以上のように、今学期は「森」を見る方を重視しながらも、決して11本の「木」を無視しないように、無視してしまったらその都度、単語や文法を確認するという授業を通じて、「木」と「森」を行き来できるような力を目指しております。これからの課題は自分から簡単な英語を発信できるような授業を行うことですが、そこにおいてはより一層、語彙力を重視していこうと考えております。

(吉川弘晃)

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