『山びこ通信』2013年度冬学期号より、クラス便りを転載致します。

『ユークリッド幾何』 担当:福西亮馬

 冬学期は、『原論』の第1巻最後にあたる命題45、46、47、48を証明し、ついに第1巻を了読しました。中学2年生で快挙だと思います。今は第3巻の1、2、3の命題を証明しています。(第1巻は3角形、第3巻は円が主な内容となっています)。
 第1巻47の命題は「3平方の定理」として有名です。また命題48はその「逆」を表す定理です。すなわちその2つを証明し終えて、「直角3角形であること」と、「斜辺の長さの2乗は他の2辺の長さの2乗の和に等しいこと」とが同値であることが言えました。このことは実は「3角形の内角の和が2直角(180度)であること」の帰結です。そしてもとをただせば、平行線の公準、「2本の直線がもし平行ならば永遠に交わらず、そうでないならばただ1点で交わること」を前提に図形を描いた時に、どのような事実が示せるか? ということを、様々な命題を通して見てきたことになります。この平行線公準という前提は、今考えている(図形を描き込む)空間が「平面であること」と実は同値です。(だからこそユークリッド幾何は今日では「平面幾何」とも呼ばれます)。その「平面であるとはどういうことか」というユークリッド幾何の核心にあたる命題を「逆」も含めて必要十分条件として示せたことは、大変意義深いと思われます。
 R君は、第3巻でも、変わらずに第1巻で証明した事柄を駆使しています。たとえば2辺夾角は「命題1.4より」、対頂角は「命題1.15より」として、有機的な体系として知識を修めてくれています。それを頼もしく感じます。
 さて、第1巻では、中腹に当たるのが「3つの合同条件」で、山頂は「3平方の定理」でした。そして第3巻では、中腹は「タレスの定理」と「円周角の定理」、そして山頂は「方べきの定理」です。ですが、すでに証明された「3平方の定理」があれば、怖くありません。今学期の授業も残り少ないですが、今の自信を温めながら、登れるところまでは登って欲しいと思います。
 ユークリッド『原論』は、いつどこで中断しても、またどこから再開しても、かわらずに私たちの参加を待ってくれています。それが古典のよさです。ぜひ気楽に付き合ってください。新中学1年生の参加も歓迎いたします。

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