『山びこ通信』2013年度冬学期号より、クラス便りを転載致します。

『ラテン語初級文法』 『ラテン語初級講読』(A・B・C) 担当:山下大吾

二学期制で進められている初級文法クラスでは、ラテン語学習上の第二の山とも言うべき接続法を無事乗り越え、かなり複雑な文法が織り込まれた例文にも取り組めるようになりました。受講生のAさんも文法表を見返しながら、ホラーティウスなど古典作家の言葉を原文で味わう楽しさを満喫されているようです。指南役としての責務の重さをかみ締めながら、ご一緒に無事ゴールを迎える瞬間を楽しみにしております。

講読Aではキケローの『老年について』を読み進めております。老年に対して巷間向けられる四つの非難の三番目、老年には快楽が不足しているという俗説を論駁する場面に入りました。快楽の質は違えども、受講生のHさん、Aさんとの三人で毎週繰り広げられている、キケローという古典に取り組む楽しみで満たされたこの時間をも、論駁の有力な証左の一つとして、21世紀の日本から大カトーに提供したい気にかられます。

講読Cでは、キケローの『スキーピオーの夢』を無事読み終え、受講生Ciさんのご希望もあり、同じキケローの『友情について』に現在取り組んでおります。姉妹篇とも言える『老年について』とのスタイルや構成の違いなどにも留意しつつ、『老年について』で聞き手の役を務めていた青年ラエリウスの、老境に入った姿で語る友情の言葉に耳を傾けております。

講読Bでは、前学期から読み始めたホラーティウスの『詩論』の読了が間近となりました。韻律に敏感なMさんはもとより、当初不慣れな様子に見受けられたCaさんも、そのdactylic hexameterの響きを楽しみながら読解に取り組まれています。

ホラーティウスは詩作の心得として、不適格な事例を挙げながらも、それらを印象深い格言的な言葉に昇華させるだけでよしとせず、その後に自らその解答とも言える詩行をきちんと我々のために示してくれていることが分かります。ヨーロッパ文芸史上、絶えず読み継がれてきた所以の一つと言えるでしょう。今後もしばらくはホラーティウスの書簡を中心に読み進める予定です。

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