今号の山びこ通信(2012/11)から、クラスの様子をご紹介します。(以下転載)

『中学理科』(担当:高木彬)

じつはエジソンは、ここ京都と深い関わりがあります。彼は、白熱電球のフィラメント(中央の発光部分)に、八幡の竹を使ったのです。ここでまず驚くのは、フィラメントに竹が使われていたということ。しかし、われわれ(?)にとってさらに驚くべきは、それが京都の竹だったということでしょう。

白熱電球を発明したのはエジソンではありません。エジソンは、すぐ燃えつきてしまうそれまでの電球を、飛躍的に改良したのです。電球が長く灯りつづけるためには、フィラメントにどんな物質を使えばいいのか。彼は、あらゆる物質で実験を繰りかえしました。その数、6000回。そして竹が、最もフィラメントに適していることを発見したのです(200時間)。しかし、ここで止まらないのが、エジソンのエジソンたるゆえん。竹は竹でも、どこの竹がいいのか。彼は全世界から1200種類もの竹を集め、さらに実験を繰りかえしました。その結果、八幡男山付近の竹が、最も長いあいだ光りつづけることを突きとめました(2450時間)。

以上が、彼の言う「99パーセントの努力」の内実です。世界から夜を消す大偉業は、こうした地道な積み重ねと、あくなき探究心のなせるわざだったのです。現在、電球のフィラメントには、タングステンという物質が用いられています。より長く、より明るく、という探究心が、後の世代の人々によって引き継がれた結果です。

山の学校の中学理科クラスに参加してくれている生徒さんたちは、そのバトンリレーの先端にいる、これからを担う方たちです。クラスの実験の時間に、実際にこの白熱電球をつくってもらったとき、フィラメントには、エジソンの時代には一般的ではなかった、でも今を生きる彼らにとっては最も身近な炭素、シャープペンシルの芯を用いました。ミノムシクリップで乾電池とつなぐと、黒い芯に電流が流れ、電気抵抗によって発熱し、光を放つのです。ガラス瓶のなかの輝きに、「うおー!」「すごい!」「きれい!」と感嘆の声があがりました。

シャープペンシルの芯など、彼らにとってはごく身近なものです。電球もまた、見慣れたものです。では、なぜ「すごい」「きれい」と感じたのでしょうか? それは、「自分でつくった光だから」です。鉛筆の芯では太すぎて、煙は出ても、光らない。シャープペンシルの芯であっても、0.3mmよりも0.2mmの太さのほうが、明るい。でも、光り続ける時間は、0.3mmのほうが長い。そうやって、自分で試行錯誤したからです。

こうした実験の時間が、このクラスでは2週間に1度、やってきます。ドライアイス、爆鳴気、音が描く模様、フェナキスティスコープ、プリズムの虹、竜巻づくり……。数々の名場面をここに書ききれないのが惜しい。そうして先人たちの発見や感動の瞬間を追体験すると、そこにいたるまでの探求と試行錯誤の楽しさ、実際に手を動かしてみることの大切さが実感できます。実験のない週にクラスで取り組んでいる問題集の解答の先には、探求すべき世界がどこまでも広がっていることに、やがてハタと気づくのです。

(高木 彬)

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