『物理』(山びこ通信2010.2より)

『物理』 (担当:上尾真道)

冬学期から始まった高校生のための物理の授業です。現在、この授業に参加しているのは高校二年生のS君のみですので、授業はもっぱら、S 君の学校での授業の進展を聞きながら、それに関するフォローを行っていくという仕方で進んでいます。

今学期の単元は「波」でした。「波」は、まず通常の物質の運動とはまったく異なる性質を持つことを理解しなければなりません。物質の運動ですと、物そのものが移動するということになりますが、波の場合は、たとえ波面が進んでいるように見えても、物質はいっさい移動していないということに気づくことが重要です。幸い、スポーツ観戦などで目にすることのある「ウェーブ」(あるいはエグザイルという音楽グループが得意とする“ぐるぐるダンス”)が、説明の役に立ちました。それぞれの人間はまったく動いておらずに、ただその動きが、隣にいる人に伝わっているということが重要です。こうしてみると、波については、或る人(場所)がどのように動いているかということと、その動きがどのように伝わっているかということの、二つの視点をもつことが大事なのです。

波の本質を理解した後では、それを数学的(代数的)に理解しなければなりません。このときには、常に“概念”(例:波長、周期など)と、それを表す“記号”(例:λ, T など)、そしてその“単位”(例:m, sなど)とをきちんと区別して覚えることが何よりも重要です。また、常に“単位”を意識しておくことは、計算問題を行う際にも非常に役立ちます。

授業では、こうした物理の理屈について説明した後に、学校で配布されている問題集や、こちらで用意している参考書の問題などで、理解度をチェックしつつ、フォローしています。

(上尾真道)