『化学』(山びこ通信2010.2より)

『化学』 (担当:上尾真道)

冬学期から開始した高校生のための化学の授業です。この授業には、高校二年生のS君と大学受験を控える高校三年生のSさんが参加しています。開始時、S君は学校でちょうど有機化学の分野の学習が始まるところでした。有機化学の分野というのは、覚えることの多い分野で、それが大変ではありますが、一方、今までとはまったく雰囲気の異なる分野なので、心機一転ひとつひとつ丁寧に学んでいくことによって、得意な分野にすることのできるところでもあります。授業では主に参考書の解説を行い、それを踏まえて、自分でまとめを作成するという作業を中心に行っています。特に、有機化学に慣れていくために、まずはその構造式を自分でたくさん書いてみるように促しています。C6H12 などと文字のみで書いてあるものを見ても、ちょっと澄ました感じで、いまひとつそれが何かはっきりしないものですが、C が四つ手を伸ばした形を書き、それらの手をひとつひとつ隣のCの手やHの手とつなげていく作業を行っていると、有機化合物にどことなく愛嬌めいたものまで感じてきます。いずれにせよ、覚えるほかないという分野ですから、どれだけ手を動かし、想像力を膨らませて、それぞれの有機化合物の特徴を捕らえていけるかということが重要となってくるわけです。

一方、大学受験を控えるS さんには、自分で選んで持ってきてもらった課題をやってもらっています。大学受験が近いこともあり、センター試験や二次試験のための問題集が中心となりました。その後、自ら見直しをしてもらい、解法がわからないところなどについての解説を私が行います。よくあがった質問のうちには、質量や体積からモル数を導かなければならないタイプの問題に関するものがありました。モル数を導き出すことは、化学の問題ではよく出るものです。試験前ということもありますので、こうした点で不安を残すことのないように、解説を行いました。

授業では、このように、二人の生徒さんがそれぞれに自分の勉強を進めるということを基本として、適宜、私が指示や説明を加えるという方針をとっています。

(上尾真道)