2/17 ことば4年生(A)

高木です。

    サーカス
                中原中也
  幾(いく)時代かがありまして
    茶色い戦争ありました

  幾時代かがありまして
    冬は疾風吹きました

  幾時代かがありまして
    今夜ここでのひとさかり
      今夜ここでのひとさかり

  サーカス小屋は高い梁
    そこに一つのブランコだ
  見えるともないブランコだ

  頭さかさに手を垂れて
    汚れ木綿の屋ねのもと
  ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

  それの近くの白い灯(ひ)が
    やすいリボンと息を吐き

  観客様はみな鰯(いわし)
    のんどが鳴りますかきがらと
  ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

       屋外は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
       夜(よ)はこうこうと更けまする
       落下傘(らっかがさ)めのノスタルヂアと
       ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

今日もT君は遅れていたので(後でプリントを取りに来てくれました)、M君と詩を朗読しました。
今日は、先週とは違って、詩を見るなり、すぐに「これ知ってる!」と言ってくれました。
「ゆあーん」が印象的だったのかもしれません。
ことばのクラスのファイルを取り出して、かつて朗読したときのプリントと見比べて、「あ! ここが漢字になってる」と、違いを発見してくれました。
そうした違いは、また、M君にも見出されることでしょう。
M君は、よりリズミカルに朗読できるようになって、音としての言葉の心地良さを感じているようです。

漢字の成り立ちは、「水」の部の二回目でした。
「汽」「港」「流」を学んでから、「清」「泡」について自分で考えてもらいました。
こちらはあえて何も言わなかったのですが、M君はかつて「流」の成り立ちをこのクラスで学んだことを覚えてくれていました。
また「泡」についても、またファイルを繰って、かつて学んだ「包」の意味をもう一度確認して、「泡」の意味を考えてくれていました。
「お母さんが赤ちゃんを包んでる字やから、そういう丸い水のことや」とM君。

「汽」の右側(旁)が、雲が流れている形だという話になったとき、その形から連想したのでしょう、M君は「先生、雲のできかた知ってる?」と尋ねてくれました。教えてほしいとお願いすると、M君はホワイトボードに図を描いて、一生懸命に説明してくれました。
よく知っているなあと感心しながら聴いていると、次は、スペースシャトルが海に落ちたとき、もとの発射台までどのようにして運ぶか、ということを教えてくれました。飛行機で運ぶのだそうです。飛行機で運ばれているスペースシャトルを想像すると、なんとなく微笑ましく感じました。
その飛行機に関連して、「バードストライク」の話もしてくれました。先頃のアメリカでの事故のことにも触れつつ、飛行機のエンジンに鳥が紛れ込んで、エンジンが止まってしまうことだと説明してくれました。

今日はひみつ道具作りはお休みして、その代わりに作文を書いてもらおうと思っていました。
私が原稿用紙を取り出すと、M君は「詩を書きたい!」と言ってくれたので、詩を書くことにしました。
M君はこんな詩を作ってくれました。

   『飛行機』
                 M

  飛行機、一度乗りたい乗り物だ。

  飛行機、まどあけて、雲をさわりたい。

  雲のって、雲のって、みんなに

  見せびらかす。

  雲と友達、いつでもあえる。

  飛行機、また乗りたい乗り物だ。

おそらく先ほどの対話が自然と詩に流れこんでいるのでしょう。「雲」と「飛行機」が登場しています。
「雲のって、雲のって」のあたりに、雲にのっているフワフワとした感じがよく表現できています。
飛行機にのって、窓を開けて、雲にのって、また地上に帰ってくる。
でも地上にいても、雲は形を変えながら、いつでも僕を見てくれている。
ストーリーの中に、彼の想像力の飛翔をみることのできる、力作です。
M君自身もこの詩を気に入ったらしく、原稿用紙の隅に「りきさくなのだ!!」と書いてくれていました。