3/3 ことば4年生(A)

高木です。

このクラスも今年度は今日で最後。
詩は、一番最初のクラスで朗読し、春学期の終わりにも読んだものを、もう一度朗読しました。

    月夜の浜辺
             中原中也

  月夜の晩に、ボタンが一つ
  波打際に、落ちていた。

  それを拾って、役立てようと
  僕は思ったわけでもないが
  なぜだかそれを捨てるに忍びず
  僕はそれを、袂(たもと)に入れた。

  月夜の晩に、ボタンが一つ
  波打際に、落ちていた。

  それを拾って、役立てようと
  僕は思ったわけでもないが
      月に向ってそれは抛(ほう)れず
      浪に向ってそれは抛れず
  僕はそれを、袂に入れた。

  月夜の晩に、拾ったボタンは
  指先に沁(し)み、心に沁みた。

  月夜の晩に、拾ったボタンは
  どうしてそれが、捨てられようか?

「あ、『月夜の浜辺』や! ぼくこれ好き」とM君が言ってくれたのが嬉しかったです。
T君は、以前お配りしたプリントをファイルから探して、そちらで読んでくれました(笑)
このクラスに最初からいたM君も、夏休み前から始めたT君も、この詩は初回に読んでいたのですが、
今日朗読してもらうと、言葉をきちんと分節で区切って、リズムに乗って、とても成長されたことが分かりました。
聴いていて、本当に感慨深かったです。

漢字の成り立ちは、「水」の部の4回目。
「消」「浅」「深」を学び、チャレンジ問題として「探」「満」を考えました。
穴(㓁)を火(木)で照らして深く探す形が「深」ですが、それを見てT君、「『探』は『手さぐりや!』」と即答。
「満」は難しかったのですが、蓋をした水瓶にヒシャクが入っている絵を描いてくれました。
一応正解は、礼装用の着物の前掛に刺繍が満ちている形なのですが、正解よりも正解らしい答えに驚きました。

クラスの始まる前にT君が、机で一人、小さなノートに何かを書き込んでいるので、何を書いているのか尋ねてみると、「漢字の特別読みやで!」と、難読漢字がぎっしり書かれたノートを見せてくれました。
これまで授業でとりあげたものもありましたが、ほとんどT君自身が調べたものでした。
「鼯鼠」や「丁抹」などは、私も初めて知りました。
ちなみに「鼯鼠」は「むささび」、「丁抹」は「デンマーク」と読むのだそうです。

最後はいつものように「ひみつ道具作り」です。
今日は二人とも、空想の動物を生む道具を作ってくれました。
T君は《空想動物製造ランド》というタイトルにもあるように、その動物と触れ合える場所も含めて描いてくれました。
またM君は、「おわる時は、水をかけると、かってにねる」など、面白い設定も一緒に考えてくれました。
同様のテーマでも、それぞれがそれぞれのしかたで道具を作って、説明文を書いてくれました。
お互いが良い影響を与え合い、切磋琢磨し合う様子を見て、なんとも頼もしく感じました。