「ラテン語入門・中級講読」──山びこ通信より(2010.11)

『ラテン語入門』『ラテン語中級講読』 (担当:広川直幸)

入門の授業では,受講生3名とともに,Hans H. Ørberg, Lingua Latina I: Familia Romanaを用いてラテン語の基礎を学んでいます.この原稿を書いている時点で22課まで進んでいます.まだしばらくの間,接続法が出てきませんが,それで良いのです.大学で一般的に用いられている教科書のように,一通り直説法と命令法の説明をしたら,すぐに接続法の説明に移るというやり方は,文法の概略を俯瞰するためには役に立つでしょうが,(そして,本来そのような作業は新しい言語を学び始める前に自分で済ませておくべきことなのですが,)しっかりとした基礎を作ることにはつながりません.接続法を学ぶ前に,直説法と命令法を運用する力をじっくりと養っておきましょう.

中級講読では,ウェルギリウスの『農耕詩』を受講生1名と読んでいます.現在,3巻末尾のノーリクムの疫病の個所を読んでいます.凄惨な状況が緻密に歌われている個所です.このような嗜好はローマの作家の特徴であり,後世に大きな影響を与えています.3巻を読み終えたら,そのまま最後の4巻に進みます.1回に20行程度というゆっくりとしたペースで進んでいることもあり,『農耕詩』を読み終えるには,まだしばらく時間がかかります.とはいえ,『農耕詩』を読み終えたら『アイネーイス』に進み,ウェルギリウスを全て読むのがこの授業の目標です.

(広川直幸)