ことば1年B

福西です。過去の記録の続きです。

<第9回>
Ta君が俳句を作ってきてくれました(山びこ通信に間に合わなかったので、改めてここで紹介させていただきます)。

いけのうえ さかながスイスイ およぐかな
いけのなか めだかがいっぱい およいでる
よるのそら そすいにほたる とんでいる
まどのそと おおあめこあめ ふっとびそう
メジャーでは バットが200ぽん おれるんだ!!
はなみずが ボトリボトリと おっこちる

「いけのうえ」は、「いけの中」に対するTa君ならではのこだわりの表現だと思います。池の底に隠れてなかなか姿を見せてくれない魚が、水面近くまで上がってきて優雅に泳いでいる瞬間を捉えたものでしょうか。(今から6年前のことになりますが、ある生徒が「かわにさかながゆれていて、さかながいっぴきすすんでる」と書いてくれたのを思い出しました)。子どもの目の解像度の高さには驚かされます。ほかにも、蛍が飛んでいたり、梅雨のことや、野球のことだったりと、色々な経験をしていることが分かります。

この日は、『こぎつねのおかいもの』の台本を持ってきました。幼稚園の年長組ですごした最後の思い出の劇です。みんなはずかしそうに「わすれた~」と言うので、私がざっと読んでいくと、人の台詞に対して「それ、~ちゃんや!」と、実は覚えているのがおかしかったです。本当は自分の台詞を暗唱して読み合わせたかったのですが、はずかしくない人と、はずかしい人とがいたので、今回ははずかしい人の方に合わせて見送りました。

最後に、『てぶくろをかいに』の絵本を読みました。
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<第10回>

今回は始まる前に、ある生徒が俳句の紙にひらがなを書き始めたので、「好きな字はなに?」とたずねたところ、「先生は?」と言うので、「ゆ」と「や」を書くと、「へんな字! お直ししてあげる」と、上から赤鉛筆で直されてしまいました。それを面白く思った生徒が「ぼくも何か書いて!」と言うので、どんどん書いていると、次々と直されて返ってきました。

自然とひらがなが単語から文章になって、生徒たちの名前になって…としているうちに、「先生が書く」→「生徒が赤で直す」→「消しゴムで一旦黒のところを消す」→「赤の通り書き直す」という形式が決まってきました。それでみんな乗ってきて、結局全員から「書いて書いて!」の嵐でした。そういえば一人に幽霊の挿絵を書くと、みんなそれをかくことになって、それも怖くかかないと許してくれないのがおかしかったです。

その後、先々週にした蛍の二句の書き取りをしました。覚えるのは簡単でも、書くとなるとまた別の負荷がかかります。いきなり二句は難しいので、どちらか好きな方の一句だけでよいことにしました。この頃になると、ひらがなもしっかりと書けるようになってきて、スペースいっぱいの立派な字を書き連ねてくれました。

この回の素話は、「藻」でした。石油の代替として注目されるバイオ燃料の一つとして、藻がある条件になると蓄える油のことを取り上げました。ただしその藻には何百種類もあって、その中のどれが一番油をとるために適しているのかがまだ研究中なのだそうです。それをぜひみんなが大人になったときに調べてほしい、と熱意を吹き込みました(^^)。

さて、この日もまた、Saちゃんが新しい俳句を見せにきてくれました。

ろくがつは あめふりばっかり ふりすぎだ
ろてんぶろ いつきてみても きもちいい。
おふろはね くじらみにいく たのしそう。
くじ(ら)はね すっぱとおよぐ はやすぎだ。
くじらはね はやくとびつく びっくりだ
ぴかちゅうは でんきたいぷだ びりびりだ

この前は凧揚げ大会の俳句でしたが、今回はくじらを見た経験が大きく心を占めているのが分かります。彼女の場合はいつも授業の最後に持ってきてくれるという、一つの形式があるのですが、そのようなはずかしい気持ちがある一方で、句の中のSaちゃんはいつも堂々としています。「てにをは」もしっかりしていて頼もしい限りです。また次作を楽しみにしています。