山びこ通信(2012.6月号)から、ラテン語クラスの様子をお伝えします。(以下転載)

『ラテン語初級文法』『ラテン語初級講読A・B』 (担当:山下大吾)

今学期の「初級文法」クラスでは、新たな趣向として、以前このクラスを受講されたOさんのご希望に沿う形で、Wheelock’s Latinという英語で書かれた代表的なラテン語入門書で学習を進めております。この入門書には、初歩の段階から、オリジナルの作品を基にした短い文章に数多く取り組んでいくという特徴があります。浩瀚な本ですので全体を読み通すだけでも十分でしょうが、ある程度進んだ段階で原典に触れ、「あの時読んだな」と振り返る喜びも期待できる構成になっています。この他従来の田中利光著『ラテン語初歩 改訂版』を教科書にした、一学期三箇月でラテン語文法の基礎を固める速習コースも引き続き受講生を募集中です。

「初級講読A」クラスでは、前学期に引き続きキケローの代表的な弁論である『カティリーナ弾劾』を読み進めております。受講生は変わらずAさんとHさんのお二方です。キケローのカティリーナに対する舌鋒は鋭さを増すばかり、当の相手であるカティリーナの心中やいかばかりかとつい勘ぐりたくなります。またキケロー自身や元老院にとって不利な事柄を予め敢えて取り上げ、ごく自然な形でカティリーナが劣勢となり、自発的に亡命せざるを得なくなるよう論を展開していく能力にはやはり感服せざるを得ません。門地に依らず、弁論の力のみで身を立ててきたnovus homoとしてのキケローの生き様をここに認めることができるでしょう。今学期中には第一演説を読み終え、引き続き第二演説に取り組む予定です。

「初級講読B」クラスでは、前学期まで受講下さったCさんと入れ替わる形で、Tさんお一方とご一緒に、キケローの哲学的対話篇『老年について』を読み進めております。新たな受講生をお迎えし、仕切り直しということで、再び作品冒頭からの講読です。西洋古典に限らず、一般に古典として認められるものの特徴の一つに「再読に耐えるもの」という評価が挙げられます。様々な人々に世代を超えて読み継がれて来たこと自体その一証左と言えるでしょう。以前感銘を受けた個所に再び出会い、見落としに気付かされる。過去の自分との幾分気恥ずかしい邂逅、これも古典の持つ魅力の一つなのかも知れません。

(山下大吾)

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