ギリシャ語各クラス(クラスだより2012.11)

今号の山びこ通信(2012/11月号)から、クラスの様子をご紹介します。(以下転載)

『ギリシャ語入門A・C』 『ギリシャ語講読』(初級A・B・中級) (担当:広川直幸)

入門Aでは,昨年の春からPeckett & Munday, Thrasymachusを用いて古典ギリシャ語の基礎を学んできた.この原稿を書いている時点で教科書は残り約一課である.およそ一年半の道程になったが,無事に教科書を終了することができそうである.その後は受講生の希望で『新約』の「マルコによる福音書」を読むことになった.易しいギリシャ語を読むことで語彙を増強し文法を定着させることが目的である.

入門Cは,水谷智洋『古典ギリシア語初歩』を一回一課のペースで進めている.今学期は第25課から最後の第36課までを扱う.途中で一学期分休みを挟んだりなど色々とあったが,何とか最後まで漕ぎ着けた.とはいえ,今はひょろひょろの骨組み(パラダイム)が辛うじて立っている状態なので,易しいものを色々と読んでしっかりと肉(語彙)を付けてもらいたい.

初級講読Aでは,『オデュッセイア』を読んでいる.一回に進む量は30行程度.もうすぐ第1歌が終わる.だいぶ慣れてはきたものの,まだ韻律に苦しんでいる感じがある.もう韻律分析は十分できるようになっているので,気を付けるべきは後一つ,すなわち「韻律単位に引きずられて,語句を切断して朗読してはいけない」ということのみである.叙事詩独特の語形態などはよく調べてきてくれているので,この点を何とか乗り越えてもらいたい.来学期も『オデュッセイア』を読み続ける.

初級講読Bでは,プラトーンの『饗宴』を読んでいる.一回(2コマ)に進む量はOCTに換算して2~3ページである.講読初年度にしては健闘していると思う.教科書はLouise Pratt, Eros at the Banquetである.初学者向けに易しく書き改められた部分はすでに読み終えたので,今は原典のままで読んでいる.ちょうど,球状人間についてのアリストパネースの奇想天外な演説を読み終えてアガトーンの演説に進もうとしているところである.来学期も『饗宴』を読む.ちなみに,この授業では講読と平行してNorth & Hillard, Greek Prose Compositionを用いて簡単な作文の練習もしている.

中級講読では,トゥーキューディデースを読んでいる.授業ではAlbertiの校訂本を用いているが,OCTに換算すると一回に2~3ページという良いペースで進んでいる.現在は第2巻の開戦初年度の記述を読んでいる.もうすぐ初年度を締めくくる,ペリクレースの国葬演説が始まる.

 (広川直幸)