「山びこ通信」(2011/6月号)より、フランス語入門の様子をお伝えします(以下転載)。

『フランス語入門』 (担当:武田宙也)

この春からフランス語クラスを担当させていただくことになりました。現在このクラスでは、文法を中心にしてフランス語の基礎を学んでいます。こちらは去年の秋から開講したクラスですが、最近では扱う文法事項もやや複雑なものが増えてきて、生徒さんとも、「ややこしいですねえ」と毎回苦笑しあいながら進めています。これはフランス語に限ったことではありませんが、外国語の文法規則には、はじめて接するときには、たじろぐくらい入り組んだ印象を受けるものがあります。しかしそれら「複雑な」文法は、少数のいわゆる「書き言葉」に特有のものを除けば、実際には日常会話においても頻繁に用いられる、「普通の」ものです。それだけに、こうした事項は、ある言語に少しでも親しもうと思えば、確実に覚えておくことが求められるものでもあります。

さてそれでは、この外国語学習の最初の壁をどのように乗り越えたらよいでしょうか。

一方では、とにかく努力によってすべてを覚え尽くすという方法があります。これはある意味で「正攻法」ですが、もちろんそれ相応の忍耐力を要しますし、とくに初学者の場合、毎回次々に現れる新たな文法事項を一つ残らず記憶に留めようとすることは、相当なプレッシャーともなるでしょう。

他方で、そうした丸暗記に限界を感じる場合には、初見での記憶にはあまり神経質にならず、その後の「実践」の中で、いわば「ゆるやかな習得」を目指すという方法もあります。というのも、文法を一通り終えた後には、読書やオーラル・コミュニケーションを通じて実際のフランス語に関わっていくことになりますが、そうした中で、最初に習った文法事項には幾度となく立ち返る必要が出てくるからです。

その際にとりわけ重要なことは、いちいち文法をチェックすることを面倒がらないことです。このこまめな文法チェックにより、以前なんとなく覚えておいたことの生きた意味を感得することができ、さらにはそれを記憶に定着させることができるでしょう。

このように、実際の言語使用という「実践」の中で基本に立ち返る機会をおろそかにしないことにより、はじめはとんでもなく複雑に思えた文法事項も無理なく消化できるでしょうし、さらにはそれらを、まさに「生きたもの」として使用できるようにもなるのではないでしょうか。

もちろん、先に述べた二つの方法ははっきりと分けられるものではありませんし、前者の方法をとったからといって復習の必要がなくなる訳ではまったくありません。しかしここでは、機械的な暗記よりもむしろ、ひとつの文法事項がその言語全体の中で持つ意味に注意を払うことによる、「復習を中心とした外国語学習」の効用についてお話をさせていただきました。

 (武田宙也)

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