『経済学入門』(クラスだより2011.6)

山びこ通信(2011/6月号)から、クラスの様子をご紹介します。(以下転載)『経済学入門』(担当:百木 漠)

この春からまた経済学入門の授業(大人向けクラス)が復活しました。3月の「学びの夕べ」で、浅野先生や僕たちが主催している学生団体「京都アカデメイア」とのコラボ企画として「経済学の夕べ」を担当させて頂いたのですが、そのきっかけでUさんとKさんに「経済学入門」のクラスに申し込んで頂き、この4月からは3人で勉強することになりました。昨年はUさんとのマンツーマン授業だったのですが、3人で勉強していると(僕が一方的にふたりに教えるというのではなく、むしろ毎回3人でわいわいと議論しながら授業を進めている感じです)マンツーマン授業では見えなかった視点が新たに見えてきたりして、非常に充実した雰囲気で授業を行うことができています。

初回の授業では、今回の東日本大地震に関連して、震災によって日本経済がどのような影響を受け、今後の日本経済はどうなっていくのか、という内容で3人で議論をしました。僕が日経新聞などからいくつかの震災関連の記事を持ってきて、その内容について簡単に解説を行ない、その後、おふたりにそれぞれの記事についての感想や、そのニュースに関連して知っている知識などを話してもらいました。例えば、震災・原発事故を受けて農業・漁業などの第一次産業が大きなダメージを受けることが予想されるというニュースや、東北の工場が生産をストップしたことにより世界的な規模で部品不足が生じているというニュース、震災復興のための予算をどのように賄うべきなのかという記事、原発事故の影響が今後の日本経済や日本社会のあり方にどのような影響を及ぼすのかという記事、などなどです。UさんもKさんも毎回僕が知らない関連ニュースや経済に関する知識を教えてくれるので、僕自身も非常に勉強になっています。長年、研究・技術職で働かれてきたUさんの意見や、自営で働かれているKさんのビジネス知識は毎回参考になるものばかりです。

また先日は、民主党が打ち出した社会保障改革案(①社会保険のパートへの適用拡大、②社会保障と税の共通番号制、③幼保一元化)について議論しました。社会保険や年金の制度はどのようなものが最も望ましいのか、社会保障と税の共通番号制に問題はないのか、幼保一元化や子ども手当制度にはどのような問題点があるのか、などなど。社会保障については、自分たちが実際に税金を払い、直接にその恩恵を受けている事柄なので、自然と議論も盛り上がりました。財源を賄うとすればどのような方法がよいか(消費税?相続税?)、年金制度はどのような方式が望ましいのか、ベーシック・インカムの導入には賛成?反対?など様々な点に議論が発展して面白かったです。

毎回の授業では、最初の30分間で僕がピックアップしてきた経済関連のニュースについて議論し、残りの1時間でマクロ経済の基礎理論についての勉強(現在は貨幣市場理論)をしています。もしこの授業に関心を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度授業を体験参加してください。日本経済や世界経済の将来について、共に学び、共に議論する仲間を募集しています。

(百木 漠)