経済学入門

百木です。
最近ブログを書けていなくてすいません。
少し余裕ができたので久しぶりに書かせていただきます。

前々回の「経済学入門」の授業では、消費者物価指数が2年4カ月ぶりプラスになったというニュースを扱いました。
日本では長期不況の原因のひとつが「デフレ」にあるとされ、「デフレ脱却こそが日本経済再生の鍵だ」と言われてきました。しかし、ここに来て一転、2年4ヶ月ぶりに物価が上昇したというのです。震災の影響もあり、景気が再び落ち込むと予想されていたところに、なぜ久々の物価上昇なのでしょうか。

リンク先のニュース記事にもあるように、「昨年4月の高校授業料無償化による物価へのマイナス効果が剥落したこと」「原油高騰に伴うエネルギー価格の値上がり」などが原因です。物価上昇の内訳は、総務省統計局が毎月webサイトにアップしている資料を見るとより良く分かります。(pdf)

1ページ目最初の「生鮮食品を除く総合指数」の前年同月比が0.6%上昇、となっている所が報道の箇所です(99.8は平成17年に比べての数字)。
2ページ目の下を見ると、前年同期比の内訳が書いてあります。こうなっていますね。

[総合指数の前年同月比に寄与した主な内訳]

◆上昇
諸雑費: たばこ +38.6%(0.27)
交通・通信: 自動車等関係費 +3.5%(0.27)・・・・・ ガソリン +13.2%(0.32) など
光熱・水道 他の光熱 +26.1%・・・・・ 灯油 +26.1%(0.17)

◆下落
食料 生鮮野菜 -12.0%(-0.25) ・・・・・ キャベツ -33.4%(-0.05) など
家具・家事用品 家庭用耐久財 -9.5%(-0.08) ・・・・・ 電気冷蔵庫 -25.0%(-0.02) など
住居 家賃 -0.4%(-0.07) ・・・・・ 民営家賃(木造中住宅) -0.5%(0.00) など

昨年4月の物価に比べて、たばこ税増税で+38.6%、自動車等関係費(ガソリン等)で+3.5%、光熱・水道費(灯油)で+26.1%、生鮮野菜で-12.0%、家庭用耐久財(家電など)で-9.5%。これらの物価変動の差し引きで、+0.6%の上昇になったわけです。

これらの結果を見ると、1年前に比べて物価が上昇したといっても、景気回復にともなって物価が上昇してきたということではなく、増税や石油の値上がりなどの経済外的要因によって、物価が押し上げられていることがわかります。

他方で、電気冷蔵庫が1年前に比べて25%、テレビが40%も安くなっていることは驚きです。家電製品の価格下落の背景には、安価な海外製品が登場してきたことに加えて、エコポイント制度が縮小し、国内家電が投げ売り状態になっている影響も大きいようです。

一言に「2年4ヶ月ぶりに物価が上昇した」といっても、政府発表の資料を見るとその内訳がよく分かって面白いものです。そこには国内外の要因が複雑に絡み合っていることが分かります。