今号の山びこ通信(2013/11/1)から、クラスの様子をご紹介します。(以下転載)

『中学高校英語』(担当:吉川弘晃)

山の学校に講師として赴任してからはや半年、春学期と夏学期をそれぞれ担当してきました。最初のうちと比べて授業の進め方には慣れたものの、生徒さんになかなか理解してもらえない文法事項があったりするなど、自分の未熟さと格闘する日々が続きます。

私の授業で大事にしているのは春学期と変わらず、「実用性」のある英語です。旅行先の英会話のようなあまり中身の無いコミュニケーションの能力のことではありません。真のコミュニケーションとは相手の主張することを理解したうえで、自分の意見を分かりやすく伝えることです。そしてその手段の1つが文字であり、私たちの思考は文字に影響されているといっても過言ではないでしょう。そのために「読み書き」の訓練を大切にしているのです。

具体的な授業形態についてですが、春学期までは英文法のドリルと単語テストを中心にしていましたが、秋学期からは高校受験を控えた生徒さんのためにも新しい方法を2つ導入しました。

第1がリスニングテストです。リスニングと言えば会話を流してその内容を選択肢で答えさせる問題が普通です。ですが、この授業ではさらに踏み込んで会話文のスクリプトで重要な表現を穴埋めにしてディクテーション(書き取り)を行います。中学生の生徒さんにとってはかなり難しいことを要求していることは理解しております。私自身も大学の英語の授業ではかなり苦戦しました。しかしながら、この作業を通じて生徒さんの英語に関する3つの力を測ることができるのです。1つ目は、聞いた単語を正しい綴りで書ける力です。「分かった!」と思っていでも実際に紙に書こうとしても書けなかったりスペルミスを犯したりすることは多々あります。しかもその単語が中1で習った単語であることも少なくありません。2つ目は聞き取った単語を正しい文法に応じた形で書ける力です。例えば耳ではspeakと聞こえたとしても主語がheならばspeaksと修正せねばなりません。三単元のsだけではなく時制にも注意する必要があります。そして3つ目は、単語を前置詞との組み合わせで理解できる力です。例えば「run=走る」と覚えていても、The river runs through the city. のように前置詞と一緒にいわば熟語の形で出てきたときに意味が取れないことがあります。いつも生徒さんに注意することですが単語は組み合わせで覚えることが一番です。

第2が和文英訳とその暗唱です。先ほどのディクテーションを行うと多くの場合、半分以上の空欄を正しく答えることができていません。そこで正しい綴りや熟語を教えるのですがそれだけでは次の週には生徒さんは習ったことを忘れてしまいます。そこで復習の意味も兼ねてディクテーションの文章を和文英訳の問題に作りなおして生徒さんに解答させ、それをその場で暗唱させます。学校の授業で習った文法範囲についてもそれを和文英訳の形にして同じ作業を行わせます。

語学の習得には理解と反復の両方が欠かせません。春学期では理解に重心を置いた説明に努めてきました。確かにどうしてこの意味になるのかが理解できると語学への興味は一層深まりますが、「実用性」ある語学力としてはそれでは失格です。実際のコミュニケーションは対象を認識して瞬間的に把握せねばなりません。すなわちtake part in A と言われたら「Aに参加する」と出てこなくてはならないのです。理解と反復、このバランスを授業時間の中でいかに調整していくかが今後の課題です。

(吉川弘晃)

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