中学数学B(2016/5/26)(2)

福西です。

Sちゃんは連立不等式(一元一次)をしました。

以下の問題を考えます。

学校にx台の長椅子があり、生徒y人が座る。

6人ずつ座ると15人座れず、7人ずつ座ると3脚余る。

椅子は何脚から何脚までの可能性があるか?

まず「6人ずつ」の情報から、

y=6x+15

と生徒数が出ます。

次に、「7人ずつ」の情報を式に翻訳して連立させるわけですが、ここで方程式(等式)の考えで、

7(x-3)

としてしまうと、はまります。

最初問題を見た時、私もはまりました。

(上のやり方でも、できないことはないのですが、連立方程式を2セット解くはめになって、面倒です)

 

連立不等式では、方程式の時以上に、状況を丁寧に思い浮かべる必要があります。

3脚あまるということは、x-4脚までは7人フルに座っている状況です。

そして最後の椅子(x-3番目)に、

1~7人

座っている可能性が考えられます。

ここで、

「最後の椅子に座っている人数」を、αと置きます。

つまりこれで一本の式、

1≦α≦7

が出てきます。

そして、生徒数は、

y=7(x-4)+α

と書けます。

これを先のy=6x+15とつなげて、

7(x-4)+α=6x+15

7x-28+α=6x+15

x+α=43

α=43-x

と、αをxの式で表せました。

そして、αを最後に、

1≦α≦7

の中に放りこめば、

1≦43-x≦7

-42≦-x≦-36

36≦x≦42

(最後の式変形に注意。符号を反転させると、不等号の向きも反転します)

これで、椅子は36脚以上42脚以下、と求まりました。

 

ところで、αは、問題の文中には与えられていませんでした。

これは自分で置いた文字です。

Sちゃんは「そういうことをしてもいいのですか?」と質問してくれたので、「思いつける限り、そうしてください」と伝えました。(学校でそうしてなくても)。文字を置いた方が、式を整理するときにより機械的に、間違いなくできるからです。

(実は上のyという文字も、もともとの問題にはなくて、必要だと思ったから私が自分で置きました)

 

次の問題を見ていきます。

4000mの距離を、最初は50m/sで、途中から200m/sで移動した。

32秒以上35秒以下で到達するには、何秒からスピードを切り替えればいいか?

Sちゃんは最初、50m/sで移動した時間をx、200m/sで移動した時間をyとしました。

そして、問題文を

50x+200y=4000

32≦x+y≦35

と翻訳しました。

一つには、次の方法が考えられます。

50x+200y=4000

x+y=32

と、

50x+200y=4000

x+y=35

という不等式の「端の値」を使って、2セット連立方程式を解くという方法です。

けれども、これは正直、面倒でしたくありません。

 

そこでSちゃんは、前にした問題を思い出し、

「x+yをtと置く」

と、新しい文字を定義してくれました。

そしてyを消して、次のように書き直しました。

50x+200(t-x)=4000

32≦t≦35

第1式から、

t=150x/200+4000/200=3x/4+20

と出ます。

これを第2式に放りこめば、

32≦3x/4+20≦35

16≦x≦20

と求まりました。

「x+yをtと置く」

という、新しい文字tを自分で定義してくれたことが、Sちゃんの素晴らしく理解してくれていたことでした。

(仮に途中、計算間違いがあって答が出なかったとしても、私ならばそこに部分点のほとんどを与えると思います。)

 

後、残りの時間で、解の存在範囲を求める問題をしました。

1)与えられた連立不等式を解くところから手を付ける

2)1)の結果を数直線に図示する

3)2)の絵を見ながら、間におさまる不等号を考える

4)不等式を整理する

このような手順になります。

3)の手順について説明すると、たとえば(連立不等式を解いた結果が)

i)

x<5

a+3<x

なら、

a+3<x<5

a+3 □ 5

この□に入る不等号を考えることになります。(「<」が答で、a<2がxの存在条件となります。)

他のケースだと、

ii)

x5

a+3<x

iii)

x<5

a+3x

iv)

x5

a+3x

がありますが、i)~iii)は「<」、iv)の両方等号が入っている場合だけ、「≦」となります。

このように一度解き方とパターンを整理しておさえました。