『西洋の児童文学を読む』

・『西洋の児童文学を読む 』C中学生以上大人まで 木曜 18:40~20:00 講師:福西亮馬

秋学期からのテキスト(予定):

『リンゴ畑のマーティン・ピピン(上)(下)』(エリナー・ファージョン、石井桃子訳、岩波少年文庫)

  

サセックスにある歌遊び(作者の創作)の紹介からはじまる、この物語は、その歌遊びに登場するマーティン・ピピンという歌い手が、六人の若い乙女たちに物語を請われるという形式でつづられています。

各物語の名前は、次の通りです。

『王さまの納屋』
『若ジェラード』
『夢の水車場』
『オープン・ウィンキンズ』
『誇り高きロザリンドと雄ジカ王』
『とらわれの王女』

これら六つの物語はどれも「最後の内容が一番好き」と感じられるような、甲乙つけがたいものです。

みなさんはどれをお好きになるでしょうか。

また、この作品の魅力は、六つの物語をつなぐ「合間」(六つの間奏曲)にもあります。そこでは、「そのあと二人はどうなったの?」「あれはどうなったの?」と、物語では語られなかった部分をめぐる、マーティン・ピピンと乙女たちとの会話パートです。

六人の乙女の名前は、次の通りです。

ジョーン
ジョイス
ジェニファー
ジェシカ
ジェイン
ジョスリン

物語の「謎解き」に空想を膨らませる乙女たちの、一人一人の心の動きが何とも言えず甘酸っぱいです。

このクラスは、大人の方にもご参加いただけます。一度読んだことがあって「なつかしい」という方も、ぜひお待ちしています。

 

春学期中のテキスト:『クローディアの秘密』(カニグズバーグ、松永ふみ子訳、岩波少年文庫)

十二歳のクローディアは是が非でも秘密を持ちたくて、家出──ただし快適な──を決意します。その家出先に選んだのが夜のメトロポリタン美術館でした。彼女はそこに展示された天使像が本物であるか偽物であるか、その秘密に触れます。「秘密が内側から人を支える」という作品のメッセージは、十代の読者にきっと響くと信じます。またクローディアが出会った老婆に、次のような言葉があります──幸福とは「わきたつ感情が心の中に落ちつき場所を見つけること」と。一体どういうことなのかを深く考えさせられる作品です。

 

読了したテキスト:
『小公女』(バーネット、高楼方子訳、福音館書店)
『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ、上田真而子ら訳、岩波書店)

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