0416 英語講読(ハリー・ポッター)

しばらくの春休みを経て再開しました。

 

作中でも年度初めの授業です(もっとも秋のことですが)。ハリーたちは植物学の授業のために温室へ向かいます。

 

植物学を担当しているスプラウト先生は服や爪が汚れていていかにも農作業をしてきた後のようです。それに対してロックハート先生はいつも通りの完璧な服装です。そのロックハート先生はハリーとロンが傷つけてしまった暴れ柳の治療の仕方をスプラウト先生に教えていたのだと話します。

 

But I don’t want you running away with the idea that I’m better at Herbology than she is!

 

と彼は付け加えます。run away with ~は「~と早合点する」といった意味です。イメージが湧きやすい表現ですね。

 

ロックハート先生は温室に向かおうとするハリーを引き止めます。ハリーが車でホグワーツに来たのは目立ちたかったからで、それは自分がその前にいっしょに新聞の一面を飾ったせいだとロックハート先生は一人で話し続けます。

 

Natural to want a bit more once you’ve had that first taste – and I blame myself for giving you that, because it was bound to go to your head

 

最初の部分は冒頭にit isを補って、「一度その味を味わってしまったならもっと欲しくなるのは当然のことだ」となります。後半は「僕はそれを君に与えてしまったことで自分を責めるよ。だってそれはきっと君を慢心させるだろうから」といったところです。be bound to doは「きっと~する」という表現です。このboundはbindの過去分詞形です。電車などでよく耳にするthis train is bound for ~(この電車は~行きです)という表現と同じです。go to one’s headで酒などが人を酔わせる、あるいは慢心させるといった意味になります。

 

ともかくハリーは植物学の授業が行われる温室に向かいます。マンドレイクの植え替えをするようです。マンドレイクは強壮剤や解毒剤の材料となる植物で、その鳴き声を聞くと危険であると、ハーマイオニーが教科書通りの答えをしていました。マンドレイクという植物は実在していて、鳴き声を聞くと危険だという言い伝えも古くからあるみたいです。

 

ですのでこの日の実習は耳あてを着けて行います。スプラウト先生が親指を立てたら耳あてを取ることにします。ここでthe thumbs-upと複数形になっているので、片手ではなく両手の親指を立てるのでしょう。

 

4人1組で実習をします。ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人と、ジャスティンというハッフルパフの生徒の4人がグループになりました。ジャスティンは気さくに話しかけてくれます。イートン校に登録されていたところをこのホグワーツに来たとのことです。お母さんは少しがっかりしたそうですが、このホグワーツは魔法界においては名門です。

 

どうにか植物学の授業を終えて、次は城に戻ってマクゴナガル先生の変形術の授業です。この日の課題は甲虫をコートのボタンに変えることです。ロンは杖を折ってしまっていて、Spellotapeで補修したもののかなり使いづらい様子でした。Spellotapeは呪文を施したSellotapeということでしょうか。

 

お昼休みを告げる鐘が鳴ってようやく授業から解放されました。それでもロンの気分はなかなかよくなりません。

 

They went down to lunch, where Ron’s mood was not improved by Hermione showing them the handful of perfect coat buttons she had produced in Transfiguration.

 

淡々と訳すと、「彼らは昼食に下りていった。そこでもロンの気分はよくならなかった。ハーマイオニーが変形術で作った完璧なコートのボタンを一握り見せたのだ。」となります。「ハーマイオニーがコートのボタンを見せびらかしたせいでロンの気分がさらに悪くなった」というのは、やや意地悪すぎる取り方のように感じられます。

 

ハリーはあわてて次の授業へと話題を変えました。「闇の魔術に対する防衛術」だとハーマイオニーが時間割を見て教えてくれました。

 

‘Why,’ demanded Ron, seizing her timetable, ‘have you outlined all Lockhart’s lessons in little hearts?’

Hermione snatched the timetable back, flushing furiously.

 

この文のoutline all Lockhart’s lessons in little heartsの部分がよくわかりませんでした。learn by heartで暗記するという意味になる表現があるので、ここでもそれと似たような意味なのかと思っていました。日本語訳を参照すると、小さなハートマークでロックハート先生の授業を囲っているのだということがわかりました。私には乙女心が足りないせいか、そういう発想はありませんでした。

 

ハリーは昼食後にコリン・クリーヴィーという生徒に声をかけられました。ハリーの写真を撮らせて欲しいとのことです。そしてそうしたやり取りをしているとドラコがクラッベとゴイルを引き連れて、ハリーをからかいにやってきました。コリンがうらやましいのだろうとドラコに言うと、彼はこう答えました。

 

I don’t want a foul scar right across my head, thanks. I don’t think getting your head cut open makes you that special, myself.

 

一文目は「俺は額に不潔な傷なんて欲しくないね」くらいです。二文目は「頭をかち割られることでそんなに有名になるなんて俺は思わないぜ」といったところです。このgetは”I got my hair cut.”(私は髪の毛を切ってもらった)というSVOCの第四文型で用いられるgetです。cut openの部分は「切開する」という熟語動詞だと考えるのが早いです。原理的にはこのopenが形容詞で「開いた状態になるように切る」と考えられます。

 

この騒ぎを聞きつけてロックハート先生がやって来ます。ハリーと二人で写真に写ってサインをするということで一件落着しました。

 

というところで今回はおしまいです。次回はロックハート先生の授業からです。