西洋古典を読む(2021/10/13)『アエネーイス』第6巻読了(その1)

福西です。

『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、西洋古典叢書)6.893-901を読みました。

英訳の『The Aeneid』(Robert Fagles訳、Penguin Classics)の該当箇所は、1030-1039です。

印象に残った個所です。

岡・高橋訳

夢の門は二つある。一つは角の門で、真実の亡霊なら容易にそこから出て行ける。

もう一つは白い象牙を光沢豊かに仕上げてあるが、この門から下界の霊が偽りの夢を地上へと送っている。

 

Fagles訳

There are twin Gates of Sleep. One, they say, is called the Gate of Horn and it offers easy passage to all true shades.

The other glistens with ivony, radiant, flawless, but through it the dead send false dreams up to toward the sky.

 

原文6.893-6

Sunt geminae Somni portae, quarum altera fertur
cornea, qua veris facilis datur exitus umbris,
altera candenti perfecta nitens elephanto,
sed falsa ad caelum mittunt insomnia Manes.

角の門は、これから現実に生まれる霊(ローマ人の英雄の魂たち)が通ります。それは、現実になる夢(正夢)と言ってもいいでしょう。

一方は地霊たちが送る、偽りの夢(逆夢)が通ります。

 

(その2)に続きます。