中学数学(10/17,24,31)その2

福西です。先の稿が長くなったので、Mさんの近況について、こちらに書くことにいたします。

 

Mさんには、連立方程式を復習した後、ここ3週、2次式の「因数分解」とその逆計算である「式の展開」を解いてもらっています。因数分解には、いろいろ組み合わせがありますが、その一つ一つのパターンを丁寧に復習することで、自信を得てもらっています。とくに、x^2―a^2=(x+a)(x―a)と、x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)という二つが基本の形です。他はその式の中の符号の入れ替えであるという見通しがついた頃には、「我ながらぐっと力がついた」と実感してもらえるでしょう。

 

Mさんはこのあたりの問題がむしろ得意な様子でした。たとえばx^2+4x+3の因数分解では、「足して4、かけて3になる二つの数a、bを見つけよ」という、いわゆる「たすきがけ」のルールを思い出す必要がありますが、それがしっかりと頭に入っているようでした。ちなみに、たすきがけには手順として「かけて3になる数」を先に考えるのがコツです。(その方が「足して4になる数」よりも選択肢が絞りやすいです)。このとき、これまでさんざんやってきた九九が大いに活躍します。Mさんはここに自信があるようでした。

 

また九九の発展として、「かけて12になる数」には、2×6や3×4でもうまくいかないときがあります。この場合、1×12という候補も考える必要があります。そのような組み合わせを考えているときのMさんの表情は、真剣そのものです。そしてそれが見つかったときには、「ああ」という、あたかもパズルを解いたような、ほがらかな顔をしてくれます。

 

Mさんはどんなに基本的な問題でも、またどんなに前にさかのぼった復習であっても、いつもおろそかにせず、黙々と向き合ってくれます。その絶え間ない姿勢が素晴らしいと感じます。実際、授業の最初から最後まで、私語を挟むことなく、ほとんど考え続けてくれています。(むしろこちらが休憩を促すほどです)。鉛筆を置くのは、プリントを一枚終わって、私が丸をつけるときだけです。

 

そのように一枚ずつ解いてくれたプリントには、私もできるだけ言葉を添えて、また100点、200点、300点・・・と「累積点」で、まるをつけています。それがこのあいだは1000点満点になることがありました。またその前後もコンスタントに800点~900点を取ってくれています。

 

同じことを繰り返しているように見えるプリントであっても、倦むことなく、むしろ勝ち癖をつけるチャンスと受け取って臨んでくれていることが嬉しいです。そのように取り組めるMさんの姿勢を、大いに称揚したいと思います。