福西です。

『黒ねこサンゴロウ4 黒い海賊船』(竹下文子、偕成社)、3と4章を読みました。

イカマルは魚釣りや雑用を一生懸命する一方で、マリン号の操舵を練習します。イカマルが以前乗っていた漁船のウミガメ号は、さまざまな計器によって安全を確保された運転でした。

マリン号は、そうじゃない。マリン号をはしらせるのは、風の気分、波の気分、それだけ。すごく自由で、すごくたのしく、すごくこわい。ぼくは胸がどきどきする。

イカマルは舵の手ごたえがそのまま自分に返ってくることに、「たのしく」て「こわい」と興奮します。

 

各章で、章の主役(一人称)が変わっていることに注目しました。

1章はサンゴロウ、2章はイカマル、3章はサンゴロウ、4章はイカマルです。

サンゴロウ視点の章では、一人称は「おれ」。イカマル視点の章では、一人称は「ぼく」で、サンゴロウは「親分」と呼ばれます。

イカマルはサンゴロウをどう慕っているのか、またサンゴロウはイカマルにどう関心を寄せているのか。前の章ではあんなことを言っていたけれど、こんなことを思いながら言ったんだな……と、次の章で分かります。言葉と内面との重なりを自然と感じることができる、心にくいしかけです。

 

11/8は立冬、暦の上では冬に入ります。

次の句を紹介しました。

鳥たちに木の実の豪華冬はじまる  八幡城太郎

「冬はじまる」が初冬の季語です。

 

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