「西遊記」を読む(ことば5~6年A、2019/7/6)

福西です。

『西遊記(中)』(渡辺仙州翻案、偕成社)を読んでいます。

中巻を読了しました。

この日読んだのは、「17 女児国」という章。

三蔵一行は、子母河を下り、西梁女国に入ります。妖魔の襲撃もなく、旅はいたって穏やかでした。三蔵は、通行許可書に印をもらうために、西梁女国の王に謁見します。

西梁女国の国民はみな女性。王の女児国王もまた女性です。その彼女が、三蔵に一目ぼれしてしまう、というのが今回のやっかいな問題でした。

女児国王の様子がおかしいことに気付いた大臣は、さっそく一肌脱ぎます。

というのも、この国には男性が一人もおらず、国民は子母河の水を飲むことで子孫を増やします(その水で三蔵と八戒の身に別の事件が起こるのですが、今は割愛します)。しかしそうやって生まれてきた子供は、みな女性。国がおだやかなのはいいのですが、兵と生産性も欲しい、という思惑が働きます。それに、三蔵と唐の玄宗皇帝は義兄弟。周辺諸国への威信も上がろうというものです。

許可印をもらうはずが、逗留、結婚の話になり、三蔵はおろおろします。けれども式の準備はどんどん進んでいきます。「いいじゃないですか」と弟子たちが茶化すと、三蔵が本気で怒り出す始末。そこで悟空は、やれやれと頭をかいて一計を案じます。女児国王をだますことに、三蔵はためらいます。結局、「結婚できません」と、女児国王に面と向かって告げます。女児国王は、「弟子たちに(觔斗雲で)経典を取りに行かせて、あなたはとどまればいいじゃないですか」と食い下がります。

ちょうどその時、蠍の女怪が襲ってきて、三蔵を連れ去ってしまいます。悟空、八戒、悟浄が取り返しにいきますが、蠍の毒にやられてしまいます。そこで、以前お世話になった二十八星宿の一人が現れ、蠍の女怪を退治してくれます。

そんな邪魔が入っても、旅を続ける意思の変わらない三蔵に、女児国王は泣く泣く心をおさめます。

通行許可証書には、すでに印がおされていた。

女児国王は、通行許可書を手にとり、三蔵にさしだした。三蔵はそれを拝受する。

「……陛下、それでは。」

三蔵は、女児国王が口をひらく前に背を向け、白竜馬にまたがった。

これで、中巻は読了です。

全部で八十一の苦難の、三蔵一行の旅路はまだ続きます。

次回は、下巻で会いましょう!