「無限論の教室」を読む(2019/5/9)

福西です。

『無限論の教室』(野矢茂樹、講談社現代新書)を読んでいます。

第四章のおさらいと、第五章の途中まで音読しました。

最近は、質問を一人10個考えてもらっています。

そのアンサーで、次のような説明をしました。

有理数=有比数=比で表せる数=分数にできる数

無理数=無比数=比で表せない数=分数にできない数

こう思ってよいです。なーんだ、という感じだと思います。

または、

有理数=分数=有限小数と、循環小数(規則性のある無限小数)

無理数=それ以外(規則性のない無限小数)

と言い直すことができます。

1.41213562=1412113562/100000000 →有限小数はすべて分数に直せます。

また0.333…=1/3 →規則性のある無限小数も分数に直せます。

一方、

√2=1.414213562…は、無理数です。(「…」があることに注意)

「〇×〇=2になるような〇のこと」を、√2と呼びます。

その√2(に近い数)を得ることを、電卓で体験をしました。

1.4×1.4=1.96

1.5×1.5>2 ×

1.41×1.41=1.9881

1.42×1.42>2 ×

1.414×1.414=1.93996

1.415×1.415>2 ×

2を境に行ったりきたりすることで、「位に入る数が、無限に、不規則に続くなあ」という実感を得てもらいました。

また、「1辺2の正方形(面積4)から、面積2の正方形を作る」という問題を考えました。

そのとき、折り紙のざぶとん折りから、√2が何を意味するのか、視覚的に納得しました。

(元ネタは、プラトンの『メノン』という本です)

 

テキストでは、集合の「濃度」という新しい物差しが登場しました。

濃度は、集合の要素の個数のことです。個数の多い方が「濃度が大きい」と言います。

その濃度をくらべる時に使う道具が「一対一対応」です。

一対一対応とは、集合Aと集合Bの要素を1つずつ取り上げ、ペアを作っていくことです。

集合の要素が有限個の場合は、なんの変哲もありません。

玉入れのときを思い出すと、「いーち、にーい」と同時に玉を1個ずつ放り投げていき、片方がなくなった時点で、ストップします。そして玉の余ったチームの方が玉の数が多いとわかります。これを「濃度が大きい」と表す、というわけです。

問題は、要素が無限個の場合です。

直線Aから、線分Bを切り取ります。直線には無限個の点が含まれます。線分にも無限個の点が含まれます。この二つを、集合A、集合Bと呼ぶことにします。

「大きさ(長さ)」という物差しでは、

A>B

です。なぜなら、Aは全体で、Bはその部分だからです。

けれども、

「濃度(個数)」という物差しでは、

A=B

となります。(その説明がテキストでなされます)

このように、話に無限が入ってくると、「部分=全体」といった、常識では「?」となる話が出てきます。

その話の延長で、1次元の線分、2次元の面、3次元の立体、(以後、4次元の胞、5次元の胞……)は、みな、内部の点(要素)に一対一の対応がつけられるので、「同じ濃度」を持ちます。

さて、そこで疑問が生じます。

それならば、「どんな」「無限集合」も、同じ濃度を持つのだろうか?(1種類しかないのだろうか?)と。

というわけで、

自然数という無限集合(点線)と、実数という無限集合(実線)の濃度をくらべる話になりました。

はたして、濃度は一緒なのでしょうか? 違うのでしょうか?

次回は、カントールという人の考えた「対角線論法」という、一つの山場です。