かず1~2年A(0904)

福西です。

秋学期の初回(9/4)は、いつも通りドリルをしてから、間違いさがしと迷路をしました。まず最初に嬉しかったのは、夏休みの宿題に渡しておいたプリントの束を、生徒たちが忘れずに「やってきたよ!」言って提出してくれたことでした。「難しくなかった?」と聞くと、1年生のH君は、「1日でやった!」とのことでした。また2年生のSちゃんは、「間違いさがしが難しかったけど、あとは簡単やった」とのことです。それなりのやり応えがあり、かつそれほど負担にならなかったことが分かり、安心しました。

 

今回から、1年生には「足し算パズル」を新しい取り組みとして取り入れました。夏休みを経て、足し算に慣れてきた頃なので、その復習も兼ねています。出てくる数字も、1、2、3までに絞っています。(どんなパズルかは、こちらの記事をお読み下さい。>『足し算パズル』

 

H君は、いくつかのからまったルールを、問題を解きながら、「あ、そういうことか」と実地に理解していき、3問するうちにすっかり手の内に入れてくれました。「もっとないの? やりたい!」とのことでしたが、「来週もあるから、続きはまたね」と、次回の楽しみにとっておいてもらいました。

 

この系統のパズルは、見た目はシンプルで薄味なのですが、かなり「ロジカルな頭」が鍛えられます。もしこうした「理詰めで」解くことを好きになってくれたなら、5年生クラスで今している「論理パズル」にまでつなげることができます。

 

2年生のSちゃんは、1年生の頃から取りかかっていた問題集が、100ページの今95ページまで来ています。いよいよあと5ページ。ぜひ最後までやりとげましょう。

 

授業の後半では、『壷の中』(安野雅一郎/文・安野光雅/絵)を読みました。

 

(生徒たちは「壷の絵の中に 船がある!」とすぐに気付いてくれました^^)

 

この本は、「壷の中に海があり、その海の中につの島があり、その島の中につの国があり、その町にそれぞれつの山があり、その山にそれぞれつの城があり…」と語られてきます。そして10まで来たところで、またもう一度、同じ文章が最初から繰り返されます。前半が絵で、後半が点で描かれています。そして後半の点の「数が意味するもの」を、前半の絵をさかのぼって思い出したところに、圧倒されることになります。

 

実際に絵本を開いてもらうのが一番なのですが、ここではその例として。写真が見づらいのですが、右側の赤い長方形は、すべて点で描かれています。その数が、左側の絵の戸棚の(島にある)全部に相当します。

 

さて、絵本に驚いたところで、今度は生徒たちに紙を折ってもらいました。1回ずつ半分に折りながら、

「1回折ったら、マス目は2つ」、「2回折ったら、4つ」、

と確認していき、

「じゃあ、3回折ったら?」

と質問しました。

 

すると、

「6や!」

という答が返ってきました。理由は、「2つずつ増えているから」とのこと。さて、さて、どうなることやら...

 

じゃん。紙を開くと、

「8やった!」

と声が。ここで、「1、2、4、6」だった認識は、「1、2、4、」に修正されました。

 

 

ではでは、その次にまた、もう1回半分に折ると、いくつになるでしょうか。

「12だと思う」

と。

「だって、さっき4つ増えたから」

という理由つきです。この理由を言ってくれることが、私は大変素晴らしいことだと思います。

 

さて、実際に開けてみると…

「あ! 16になってる」

と。これまた予想と違いました。

 

ここで、「1、2、4、8、12」だった認識は、「1、2、4、8、16」に直されました。

 

 

でもこうなってくると、気が付くのも早いものです。「もう1回折ると、いくつ増えるかな?」と言うが早いか、「16増えるはずや!」と、ズバリの返答が。

 

「だって、半分が16やし、もう半分も16。だから」

 

では、それがどういうことか、以下に写真で確認していきましょう。

 

(半分に5回折った紙を、広げていきながら、敷居に線をつけていきます)

 

(そして、 16まで書いてみました)

生徒たちが言ってくれたのは、こういう状況のことです。

すなわち右半分には、左半分と同じ広さ(マス目)があることが見てとれます。だから増えるのも16で、全部で32、と予想してくれたのでした。実際その予想は正しいことになります。

 

#こうやって書き足していくのが楽しいと感じられたのか、1年生のH君は、何度も「この紙ちょうだい!」と言っていました。(なので、生徒たちにも同じ紙を作ってもらいました)

 

というわけで、紙を折る限り、どんどん増えていきます。

32の2倍で、64。

 

「もう1回折りたい!」という生徒たちのリクエストに応じて、では、もう1回。

 

このように無理やり折って、64の裏にその倍を書き込んでみると…。

 

じゃん。64の2倍で、あっという間に100を越えました。これが、「100を越える」というイメージです。

 

実際、128はこんなにも書くのが大変なのですね。この倍となれば、数字を書くのは、きっと大変な作業になることでしょう。でも、そうした大変なものの大きさを、「128」「256」という数字に(この場合たった3文字!)に置きかえることができるというのが、算数の魅力であり取り得です。それが、算数を勉強する意義の一つだと思います。

 

さて、ここで私が強調したいと思うことが一つあります。それは、ひとたび数字に置きかえて忘れてしまうにせよ、100が持つ「イメージの確からしさ」を、ぜひ自分たちに植えつけてほしいということです。あるいは、大きな数がどうやって登場するのか、その「必然性」を、上のような話で感じてほしいということです。

 

もうすぐしたら、1年生は10よりも大きな100という数を習い、2年生は筆算でその計算を習います。そこで、「大きな数」のことを、どこからやってきたか分からない単なる0の羅列ではなくて、『壷の中』の絵本や、紙を折るといった作業で見たように、「いつでもどこでも出会える」ものとして付き合ってくれたなら嬉しいです。そうすれば、「大きな数」を知ることは、これからもずっと算数の楽しみの源泉であり続けると言えるでしょう。