ことば5~6年(2018/4/19)

福西です。先週の選句の説明をしました。1句を例にとります。

こいのぼりおとうとやっとうまれたぞ 高橋真弓(小3)

「こいのぼり」(季語)と「おとうと」(季語以外)の取合わせです。

口語調で何気ない句のようですが、ここから一体どんな絵が思い浮かぶでしょうか?

弟が生まれたのはきっと病院でしょう。一方、こいのぼりは自宅のベランダか屋根にあるのでしょう。ここで、「赤ん坊・お母さん」と「私・お父さん」という家族構成ないし空間の離れが目に浮かびます。

また、こいのぼりは、今、下に垂れているでしょうか、泳いでいるでしょうか?

「おとうとやっとうまれたぞ」からは元気さがうかがえます。であれば、こいのぼりもまた風に元気よく泳いでいることでしょう。

ここまで自然と絵の浮かぶことが、私がこの句をいいなと思った理由です。

さらに、

こいのぼり/おとうとやっとうまれたぞ

と切れているので、季語が作り出す余韻(こいのぼりの本意=「快活さ・清々しさ」)に浸りながら、

作者は「なあ、こいのぼりよ。私に弟が生まれたんだ」と呼びかけているのかもしれませんし、あるいはこいのぼりの一番下に泳ぐ(あるいはその下の見えない)緋鯉をおとうとにたとえているのかもしれません。

そして、このこいのぼりは、まだ生まれてもいない弟のためにすでにあったというのではやや不自然なので、おそらく去年以前、作者のためにあったこいのぼりなのでしょう。それで、もしこいのぼりに感情移入が働くとすれば、こいのぼり=おとうとではなくて、こいのぼり=自分なのでしょう。こいのぼりという「季語」に胸を借りていること。そして身の回りで生じた一事件に対する心情を吐露するという、作者の「実感」がにじみ出ています。

このように、読者にあれこれと思いを巡らせることを許容してくれる、句の余白の大きさが、私がいいと思った理由です。

Sちゃんが(T君はあいにくいなかったのですが)なるほどと思ってくれたようでした。

取合わせとは、全然ちがうもの同士(一方は季語)を、「まさにそれだ! 後にはもうそれしか考えられない!」という組み合わせにすること。

このような例から、俳句についてより興味をもってくれたら幸いです。

 

残りの時間は、Dixitという連想ゲームをしました。