かず6年

福西です。秋学期もよろしくお願いいたします。

初回は2時間続きで、1学期に習った「分数と小数について」のおさらいをしました。

もし3・4年生の生徒が、「分数って何?」「小数って何?」「分数と小数って何が違うの?」と質問してきたらという設定で、知っている限りのことを紙に書いてもらいました。どちらもは大変なので、Ku君が分数について、Ke君が小数について分担することにしました。

書く内容を膨らませてもらうために、次の質問をしました。

「もし分数をすべて小数で表せるなら、小数だけ存在すればいいのでは?」

これには、早速というか、「それだときっと不都合があるのではないか」と検討をつけたKe君が、しばらく考えた末に、「計算する手間が違うのではないか」ということを指摘してくれました。そして次のような計算を例に挙げてくれました。

1)5/39+6/5
2)5/39×6/5
3)0.128+1.2
4)0.128×1.2

1)と4)は時間がかかる計算です。このことから、「分数はかけ算(割り算)に向いている」「逆に、小数は足し算(引き算)に向いている」ということが分かりました。なるほどです。

次に、「分数と小数の数の世界は、どちらが広いのか?」ということを質問しました。

もし分数のすべてを小数で表せて、分数で表せない小数があるならば、それは小数の世界の方が分数のそれを「含んでいる」ということになります。逆であれば、分数の方が広いことになります。あるいは、互いにオーバーラップしている? ちなみに、分数も小数も、無限個の数の集まりですが…さて?

そこで、二人ともうーんと考えていたのが貴重だと思います。私は私なりの答を持っていますが、彼らは彼らで、中学生に行ってもさらに理解を深めていって欲しいと思います(「分かった!」という手ごたえは、その都度自分の中に訪れるもので、潜ってはまた浮かんでの繰り返しの中にあるものだと思います)。

それから、小数担当のKe君には続けてこんな質問を出しました。

「『0.333』と『0.333…』の違いは何でしょう? また0.333×3=0.999なのに、0.333…×3=1になるのはなぜでしょう?」

Ke君はこの質問に果敢に食らいついており、「『…』の意味は、『繰り返し』だから、1―0.333…をすれば、限りなく0に近づいていく」という説明をしたことには驚きました。

一方、分数担当のKu君には、以下の質問を繰り出しました。
「3/2+1/3のときは、通分? 約分?」
「3/2×1/3のときは、通分? 約分?」
「分子、分母って何?」
「1/2のケーキを二人で分けると、1/2÷2=1/4、
 1/2のケーキを独り占めすると、1/2÷1=1/2
 なら、1/2のケーキを1/2の(食欲の)小人が食べると?」

一番下の質問については、案の定、試行錯誤を重ねました。

Ku君「1/4?」
「感覚ではそう。でも1/4は二人で分けたときと同じだよ。1/4、1/2ときて、また1/4に戻るのかな。式はどうなる?」
Ku君「…1/2×1/2?」
「本当に掛け算? 上の式二つはどちらも÷だったけど」
Ku君「ちがった。1/2÷1/2」
「じゃあ、なぜ割り算かな?」
Ku君「それは、分けているから」
「その通り。じゃあ、1/2÷1/2の答は?」
Ku君「1」
「そう。じゃあここで質問。もともとのケーキは1/2なのに、小人が食べたら1になるのは、一体どういうことでしょうか?」

Ku君はしばらくの間じっと式とにらめっこを続けました。それからはっとひらめいて、次のように説明してくれました。

「1/2のケーキを1/2の小人が食べるということは、ぼくらじゃなくて、「小人にとって」そのケーキがどう見えるかという問題。小人というのはぼくらの半分。ということは、小人のかわりにぼくらがスモールライトで半分になってもいいので、ぼくらを半分にしてみる。
 すると、小さくなったぼくらの目には、ケーキは2倍の大きさ、つまり1個分に見えるはず。ぼくらは1個食べたらおなかいっぱいになるから、それを食べたらおなかいっぱいになれる。つまり、小人にとっては1/2個がおなかいっぱいの量ということ!」

十分な説明です。Ku君は自分でも深く理解したと思った様子でした。一方、それを聞いていたKe君がまたピンと来て、別の解釈をほどこしてくれました。

Ke君
「あ、そうか! 1/2の小人と1/2のケーキの両方にビッグライトをあてて、2倍に大きくすれば、人間1人分と、ケーキ1個分になる。そうすれば、1/2÷1/2は、1÷1になる。ということは、答は当然1。それが、人間がケーキを1個食べたらおなかいっぱいになるということ。でもそれは、小人が1/2のケーキでおなかいっぱいになれるということと同じ!」

二人ともそれぞれに違う、すばらしい結論でした。Ku君はスモールライトを、Ke君はビッグライトを持ち出してくれたのが、面白いと感心しました。二人とも将来、良い家庭教師ができそうですね。

さて、上のようなことを紙にまとめてもらったのですが、時間が足りず、続きは家で書いてきてもらうことにしました。どんなふうにまとめてきてくれるのか、次回提出が楽しみです。